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からだ・美容

小児アトピーとアレルギーの今 30年で変化した病気の傾向と新しい治療

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

子どもの生活への影響と家族の支え

長尾みづほ先生
長尾みづほ先生

 アトピー性皮膚炎は皮膚の病気にとどまらず、子どもの生活全般に影響します。夜間のかゆみによる睡眠障害は、集中力や学習意欲を低下させることが。また、外見への不安から、自己肯定感が下がることもあります。

 長尾先生は「治療のゴールは皮膚をきれいにすることだけでなく、ぐっすり眠れるようにする、学校生活を快適に過ごせるようにすることなど、日常生活の負担を軽減することにある」と強調します。

「受診のときには症状だけでなく、家庭で感じている大変さもぜひ伝えてほしいですね」

 たとえば、下記のような声が聞かれます。

・気管支喘息の薬を毎日続けるのが不安
・アトピー性皮膚炎の薬を毎日塗るのがつらい、負担に感じる
・子どもの症状が悪いと親も眠れず、睡眠不足になっている
・学校や保育園を休ませたり、仕事を休まざるを得なかったりして困っている

 こうした生活上の困り事は、生活全体を考え、一緒に無理のない治療方針を組み立てるうえで、とても大切な情報だといいます。

 また、「皮膚のかゆみで眠れない」「食べ物を食べたあとにじんましんや咳が出た」「咳や鼻水が長引く」といったサインがあるときは、早めに専門医に相談することが重症化を防ぐ近道でもあるそうです。

「アレルギーは、正しく向き合えばコントロールできる病気だともいえます。保護者だけで抱え込まず、医療者や社会のサポートを活用することで、子どもも家族も安心して生活できるようになってほしいです」

◇長尾みづほ(ながお・みづほ)
医学博士、日本小児科学会認定小児科指導医、日本アレルギー学会専門医・指導医・代議員、日本小児アレルギー学会 代議員、理事日本小児呼吸器学会 地区委員。岐阜大学医学部を卒業後、小児科医としてのキャリアを重ね、現在は国立病院機構三重病院小児科勤務、臨床研究部アレルギー疾患治療開発研究室室長、アレルギーセンター副センター長。三重大学医学部臨床准教授として教育・研究にも携わり、小児アレルギー領域の第一人者。日本アレルギー学会専門医・指導医として多くの受賞歴を誇り、臨床と研究の両面から小児医療の発展に尽力。

(Hint-Pot編集部)