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洗っても洗えている気がしない…ブロッコリーが水をはじく理由とは 正しい洗い方を栄養士が解説

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:和漢 歩実

水をはじくブロッコリー(写真はイメージ)【写真:PIXTA】
水をはじくブロッコリー(写真はイメージ)【写真:PIXTA】

 2026年度から「指定野菜」に追加されるブロッコリー。輸入ものも多く、通年出回りますが、国産ものは寒くなってくるこれからがおいしい季節です。ところでブロッコリーを水洗いしようとすると、水をはじいてうまく洗えないことがあります。なぜでしょうか。栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに、洗い方とともに伺いました。

 ◇ ◇ ◇

表面に天然のロウ質成分がついている

 ブロッコリーが水をはじくのは、表面についた「ブルーム」と呼ばれる天然のロウ質成分のためです。ブドウやブルーベリーなど果物にも見られるもので、雨水や病原菌、乾燥から植物を守る役割があります。植物自身から作り出される成分であり、口にしても問題ありません。

 むしろ新鮮なものほど、ブルームが多く、水をはじくといわれています。そのため、流水で洗おうとしても、中まで水が入りにくく、洗えているのかどうか疑問に感じることもあるかもしれません。「そこまで洗わなくても良いのでは?」と感じる方もいるでしょう。

 しかしブロッコリーは、蕾が集まっている形状から、手の届きにくいところ、見えにくいところに、虫やホコリが付着している場合があります。しっかりと洗ってから調理しましょう。

ブロッコリーの洗い方のコツ

 ブロッコリーを洗う際は、流水ではなく、たっぷりの水に浸すことがポイントです。

〇丸ごと洗う場合
 ボウルに水をたっぷり入れたら、ブロッコリーを下向きにして蕾部分を水の中に入れて、10分くらい浸しておきます。その後、茎部分を持ち、前後に左右に振り洗いしましょう。振ることで、蕾の奥までたっぷりの水が行きわたります。このとき、水に油のようなものが浮くことがありますが、ブルームなので問題ありません。振り洗いが終わったら、茎部分も含めて水で洗い流します。

〇切り分けて洗う場合
 ブロッコリーを小房にしたら、ポリ袋や保存袋などに入れ、水を注ぎ、密封して5分ほど放置します。その後、袋を持って1分ほど振りましょう。丸ごとの場合と異なり、切り口からビタミンCなど水溶性の栄養素が流出しやすくなるので、手早く行ってください。終わったら袋から取り出してザルなどに移し、水で洗い流します。

 いずれも、最後に「振る」ことで、蕾の奥に残っていた汚れなどを出し切ることができます。洗ったあとは、しっかりと水気を拭き取ってください。

ブロッコリーは生でも食べられる?

 ブロッコリーは、独特のえぐみや固さが気にならなければ、生で食べることもできます。ビタミンCやカリウム、葉酸(ビタミンB群)など効率的に栄養を摂取したい場合には、ブロッコリーの生食をしてみても良いでしょう。ただし、食べやすさでいえば、加熱することをおすすめします。

 ビタミンCやカリウムなど水溶性の栄養素を損失なくいただくには、ゆでるよりも電子レンジ加熱が良いでしょう。小房に切り分けたブロッコリーに少量の水をかけ、耐熱皿に並べ、ふんわりとラップをかけます。電子レンジ(500W)で3分ほど加熱すれば出来上がり。余熱で火が通りやすいため、少し硬めに仕上げるのがコツです。

 また脂溶性であるβカロテンとビタミンKは、油と一緒に食べることでそれぞれの吸収率が上がります。ゆでずにレンジで加熱したブロッコリーに、好みのドレッシングをかけて食べると良いでしょう。

 ゆでたブロッコリーを保存する際は、しっかりと水分を取って、密封できる保存袋などに入れて冷蔵庫の野菜室で保存してください。3日程度を目安に、できるだけ早めに食べ切りましょう。

 食べ切れない場合は、冷凍保存が便利です。しっかりと水分を取ったら、小分けにして冷凍用の密封保存袋に入れて、冷凍庫へ。色や栄養素も保ちやすくなります。

(Hint-Pot編集部)

和漢 歩実(わかん・ゆみ)

栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾