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重婚日記~笑撃の結婚生活~ 第1話「すべては偶然の再会から始まった」
公開日: / 更新日:
教えてくれた人:坂本 尚志

戸籍のある日本で「国内で重婚」が起こり得るとは――。役所に提出した婚姻届は正式に受理済みでしたが、本人も気づかないまま制度の盲点にはまっていたようです。普通の結婚生活のはずが、想定外の出来事が続き、日常は一変しました。何が本当で、何が嘘だったのか。これは、波乱と笑い、そしてレジリエンスに満ちた、ひとりの女性の実話です。
◇ ◇ ◇
仕事も彼氏も失って、最後の“東京チャレンジ”
20代後半、結婚を意識し始めた頃。私は直前までつきあっていた彼氏に、仕事も心もごっそり持っていかれ、地元に帰ろうか迷っていた。しかし、東京での最後のチャレンジだと思って、某企業に転職を決意した。
そこで待っていたのは、まさかの再会。数年前まで別の職場でかわいがってくれていた“面倒見の良い先輩”――のちの夫と、社内エレベーターでばったり出くわしたのだ。
「あれ!? なんでここに?」なんてドラマ的な第一声から、再び連絡を取るようになった。
彼は年上のアメリカ人で、身長180センチ、短髪でがっしりした体格で、ヒゲもあって、一見強面だけれども、実はとってもお人好し。週末ごとに宴会を開く飲み会番長で、その場に私も毎回呼ばれるようになった。
突然の告白と、まさかの交際スタート
当時の彼には妻も子もいたし、子どもの写真を見せてもらっていた。私にとっては、おもしろいお兄さん。恋愛対象として見ることなんて、まったくなかった。
私が彼氏募集中だと知ると、彼はいろいろな男性を紹介してくれた。でも、なぜかすべて空振り。どうもピンとこない。
そんなある日、いつもの飲み会の帰り道。紹介者であるはずの彼から、不意打ちの告白をされてしまった。
「やっぱり俺が君のことを一番好きだ」
――え? 今、なんて?
「……いやいやいや、既婚者でしょ!」
少し混乱しながらも、即座にお断りした。結婚相手を探しているのに、不倫なんてできるわけがない。
どうやら、彼は仕事仲間たちと頻繁に飲みに行っていたが、実は、彼は飲み会のあと家に帰らず、漫画喫茶などで寝る日も多かったらしい。
しばらくして、彼が離婚して家を売り、ひとり暮らしを始めたと聞いた。実際に引っ越してひとり暮らしをしている様子も見えたので、離婚は本当なのだと確信した。こうして、私たちは交際を始めることにした。