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重婚日記~笑撃の結婚生活~ 第1話「すべては偶然の再会から始まった」

公開日:  /  更新日:

著者:Rocco

教えてくれた人:坂本 尚志

婚姻届は“逆プロポーズ”で

 つきあって数か月、当時私はアラサーで、結婚したいお年頃だった。一方で、彼は離婚直後だからなのか、結婚の話を一切しない。

 私は「結婚する気がないなら別れたい」と言うようになり、しばらく様子を見たけれど進展なし。最終的に「本気で結婚する気があるなら、○日の○時に役所前で集合」と提案し“逆プロポーズ”。今思えば、なんて、夢も色気もない結婚だったんだろう。

 当日、彼は集合場所に現れ、そのまま婚姻届を提出。私たちは呆気なく夫婦になった。

 まさか重婚だなんて知る由もない。婚姻手続きにおいても、なんのお咎めもなかった。

 私の希望で、夫の地元・アメリカで挙式をしたのだけれど、夫の生い立ちが複雑であることを何度も聞いていたうえに、「家族とは縁を切っている」というので、地元での結婚式に親族が来ないことに疑問を持たなかった。

 そもそも、夫は何年も前から知っている職場の先輩で、周りも共通の友人だらけ。帰国後は、友人たちを呼んで盛大な結婚パーティーもした。実は離婚していないなんて、どうやって気づけというのか……。

 こうして、私たちは正式に結婚をした。

※子どもたちのプライバシー保護のため、匿名で執筆しています。

【重婚について】
 刑法第184条では、すでに配偶者がいる者が別の相手と婚姻した場合を「重婚罪」と定めています。ただし、実際の現場では、意図的なものばかりでなく、外国との戸籍や手続き上の制度の違いや、ミス・誤認などによって、意図せず結果的に重婚状態になってしまうケースもありえます。(清陵法律事務所・坂本尚志)。

(Rocco)

Rocco(ロッコ)

20年近い結婚生活で、次々に起こる波乱を、泣きながらも笑いに変えて乗り越えてきた。とくに、戸籍制度の落とし穴から生じた「国内重婚」という、聞いたこともない状況に直面し、検索しても事例が見つからず、孤立無援の中で悩んだ経験は大きい。実際の体験をもとに、戸籍制度とレジリエンスをテーマに綴っています。

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坂本 尚志(さかもと・たかし)

弁護士。清陵法律事務所所長。プロボクサー。東京大学法学部卒業。詐欺・消費者問題に注力。https://seiryo-law.com/