警笛を鳴らし続けても…クマはマイペース

　電車は減速を始めてから再出発までおよそ5分間停車。その間も運転士は警笛を鳴らし続けていました。

「警笛をずっと鳴らしていたのですが、クマは枕木の下に潜ったり、線路上を歩いたりして、電車を気にしている様子はとくにありませんでした」

　大音量の警笛にも動じず、線路を行き来するクマ。その堂々とした姿に、山の主のような風格さえ感じられます。

「電車が止まるまでの間に特にアナウンスはありませんでした。クマが去ってから再出発する際に『クマが出現したため停車しました』とアナウンスがあり、車内は少しだけざわつきましたが、混乱はありませんでした」

　ほとんどの乗客は何が起きているのかわからないまま、静かに再出発を待っていたそうです。

前日にもクマの出没情報が

　らくらくださんは前日、宿泊先の芦ノ牧温泉でもクマの出没情報を耳にしていたといいます。

「送迎バスの運転士さんから『今朝方、集落にクマが出たので、徒歩で出歩くのは危ない』と教わりまして、散策は断念しました。

　このままぶつかって脱線していたらと思うとゾッとします。いち早く発見して対応してくださった運転士さんに心から感謝しています。芦ノ牧温泉と大内宿は最高に癒やされたので、クマの出ないシーズンにまた訪れたいです」

　実際にクマと遭遇したことで、らくらくださんは「来月は紅葉を見に山へ行こうかと思っていましたが、今年は諦めようかと思います」と話します。そして最後に、「秋の行楽シーズンですが、皆様もクマにはお気をつけください」と呼びかけました。

　各地でクマの出没が相次いでいます。自然の中を走る只見線で起きた一幕は、人と野生の距離を改めて考えさせる出来事となりました。

（Hint-Pot編集部）