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「思い当たる食事が見つからない」 カンピロバクター食中毒はなぜ原因特定が難しい? 発症まで数日かかる理由を医師に聞いた

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

季節を問わず、感染する可能性が潜むカンピロバクター食中毒(写真はイメージ)【写真:写真AC】
季節を問わず、感染する可能性が潜むカンピロバクター食中毒(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 食中毒というと夏場を連想しがちですが、実は、カンピロバクターによる食中毒は季節を問わず、一年中発生しています。加熱不十分な鶏肉が主な原因で、日本では食中毒の原因菌として最も多く報告されている細菌です。発熱や下痢などの症状が出るまでに数日かかるため、原因となった食事に思い当たらないケースも少なくありません。これからの季節も注意が必要な、カンピロバクター食中毒の特徴について、天王寺やすえ消化器内科・内視鏡クリニックの安江千尋院長に聞きました。

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二次汚染にも注意

 厚生労働省の統計によると、2024(令和6)年のカンピロバクター食中毒発生件数は208件でした。日本で最も発生している細菌性食中毒の原因菌といわれており、報告されていない軽症例も多く、実際の感染者数はこの数倍以上と考えられています。

 季節を問わず発生するのが、カンピロバクター食中毒の特徴です。夏場に多い食中毒のイメージとは異なり、年間を通じて注意が必要な細菌といえるでしょう。

 カンピロバクターは、生または加熱が不十分な鶏肉の摂取が主な原因です。鶏の腸管に高率で存在しているため、中心部まで十分に加熱しないと感染のリスクがあります。

 また、生肉を切ったまな板や包丁を洗わずに他の食材に使うことで菌が移る「二次汚染」や、生焼けの肉を扱った箸でほかの食べ物を口に運ぶといった行為も原因になります。肉以外に、生乳や井戸水、湧き水などが感染源になることもあります。