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七五三で「同じ色なんてありえない!」 義妹の横やりに、夫は「たかが七五三くらいで…」 堪忍袋の緒が切れた30代妻の決断
公開日: / 更新日:
教えてくれた人:夫婦カウンセラー・原嶋 めぐみ

七五三は、子どもの成長を祝う家族の晴れ舞台。しかし、夫の無理解によって、準備の喜びが一転、涙に変わってしまう場合もあるようです。今回は、七五三から離婚を考えるようになったという30代女性のお悩みを、夫婦カウンセラーのアドバイスとともにお届けします。
◇ ◇ ◇
「ここで揉めてもしょうがないだろ?」と同調する夫
昨年の七五三を振り返り、ため息交じりに語ってくれたのは、関東在住の佐藤サチヨさん(仮名)です。ピンク色が大好きな7歳の娘さんのために、サチヨさんは早くから着物のレンタル店をめぐり、準備を進めていました。最終的に、淡い桃色に花模様が散りばめられた素敵な着物を予約していたそうです。
「娘は着物をとても気に入っていて、今か今かと指折り数えて七五三を待っていました。それなのに、娘と同い年の娘がいる義妹が、横やりを入れてきたんです」
お彼岸のため、近居の夫の実家に集まった際、義妹が義母から1か月ほど前に、ピンク色の着物を買ってもらった話を始めました。そして、サチヨさんたちはどうするのか聞かれたため、娘さんがレンタルする着物の写真を見せたところ、義妹の顔色が急に変わったのです。そして、「同じ色なんてありえない!」と言い出しました。
困ったサチヨさんは義母に助けを求めました。ところが、義母は義妹をいさめるどころか「一度言い出すと聞かないから……」と、サチヨさんに譲歩を促すような目線を送ってきたそうです。そして、夫までもが「ここで揉めてもしょうがないだろ?」と同調してしまいました。
「たかが七五三くらいで…」の言葉に唖然
義妹と義母と夫に「変えてほしい」と迫られた娘さんは、「ピンクが良い!」と泣き出してしまい、そのまま帰宅することに。帰宅後、サチヨさんは「気にせずにピンクの着物を着たら良い」と、泣き続ける娘さんに声を掛けたものの、従妹と差をつけられたショックからか、娘さんはあれほど楽しみにしていたにも関わらず、「行きたくない」「七五三やめる」と言い始めたそうです。
困ったサチヨさんは、実母に相談することに。すると、茶道を嗜む実母はツテをたどり、深い紫地に鮮やかな大輪の花が咲いた、正絹の着物を用意してくれました。
その着物を見た娘さんは「お姉さんっぽくてきれい!」とどうにか七五三への気持ちを取り戻してくれました。さらに当日、着付けとヘアをお願いしていた美容院でも、スタッフさんが「これは素敵ですね」と丁寧に仕上げてくれ、娘さんは大喜び。お参りに行った神社でも、参拝客から「きれいねぇ」と声を掛けられたり、カメラマンからも大絶賛されたりして、結果的に笑顔が弾ける大成功の七五三になりました。
その後、挨拶のために義実家へ立ち寄ると、偶然義妹一家も来ていました。娘さんの紫の着物を目にした義妹は、露骨に表情を曇らせたまま無言に。義母はその様子に気まずそうに目を泳がせていたといいます。
そして帰り道、夫が「何も、当てつけみたいに良い着物を着せなくても……」とぼそり。
その一言で、サチヨさんの堪忍袋の緒は完全に切れてしまったそうです。
「家に帰ってから夫を詰めに詰めたのですが、本人は『たかが七五三くらいで、そんなに怒らなくても……』と何が悪いのかわかっていないようでした。娘のためにも、離婚したほうが良いか悩んでいます」
娘さんのフォローを優先
「結婚して家庭を持っていても、“自分にとっての家族”の範囲をうまく切り替えられない人は一定数います」と話すのは、夫婦カウンセラーの原嶋恵さん。
今回のケースでは、義妹の希望を優先すれば場が荒れず済む――という経験を重ねてきた結果、義妹に譲ることが“当たり前”になってしまっていた可能性があります。しかし現在の夫にとっての第一の家族は、サチヨさんとお子さんたち。そこを取り違えたままでは、同じことが繰り返されかねません。サチヨさんは離婚も考えているとのことですが、その前に試せる方法はあるのでしょうか。
「まずは義理実家と少し距離を置いてみることです。いきなり遠方へ転居するのが難しいなら、今の暮らしを大きく変えずに済む範囲で、義実家と生活圏を分ける工夫をしてみるのも一案です。また、義実家に顔を出す頻度を減らすだけでも、関係は変わり始めます」
物理的あるいは心理的な距離ができることで、夫側も「誰を優先すべきか」を徐々に理解できるケースもあるといいます。それでも歩み寄りが見られない場合には、離婚という選択肢を検討する段階に入るのは不自然ではない、と原嶋さんは続けます。
「夫をすぐに変えようとするのは時間がかかるので、今優先すべきは娘さんへのフォローです。今回は実母さんの助けで結果的に良い七五三になりましたが、“お父さんは従妹を優先した”という記憶が子どもの心に残る場合があります。七五三の季節になったら、外食やお出かけ、家族での小さなイベントなど、楽しい記憶を新しく上書きしてあげることが大切です」
(和栗 恵)