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「安くて最高だね」 アメリカ人が驚いた衛生環境を守る対策グッズとは 「え!? うらやましいよ」
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家の中で徹底的に遠ざけたい存在のひとつ、ゴキブリ。日本では効果的な対策グッズが多く販売されていますが、海外ではどうなのでしょうか。6月下旬からアメリカ・ロサンゼルスで暮らすYoさんが、現地の生活事情を伝えるこの連載。第13回は、日米で差があった「ゴキブリ対策の充実度」についてご紹介します。
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費用と手間がかかるアメリカの駆除業者
ある朝、ホームステイ先でゴキブリが出ました。慌ててホームセンターに行き、3種類の殺虫スプレーの中から、最も強力そうなものを購入。しかし、それは日本製のように遠くまで噴射できるタイプではなく、射程距離はせいぜい1メートルほどです。薬剤は床にしたたり落ちるように散布され、動きが完全に止まるまでには数分かかりました。さらに臭いも強く、使い勝手が良いとは言えませんでした。
アメリカでは業者に依頼し、ほかの害虫と一緒に家ごと防虫する家庭もあります。ただ、筆者のホストファミリーは、費用を抑えるために依頼していませんでした。日本の家庭で一般的に見かける殺虫スプレーや、置き型の毒餌もなく、あったのは簡易的な防虫剤だけ。その後、1週間で4回もゴキブリに遭遇したことを思うと、防虫剤で十分な効果が得られているとは感じられませんでした。
業者を利用したことがあるアメリカ人に聞くと、「依頼するのは、手間とお金がかかるんだよね」といいます。
「人にもよるけど、薬をまく前に洋服を家から出さないといけないし、作業後に食器を洗わないといけないから、とても面倒。ペットがいると、より難しい。マンションなら、建物ごとやらないといけないところもある。賃貸なら契約に含まれていることが多くて、定期的に無料で対応してくれるんだ。業者に頼まなければ、自分で毒餌を置くなどするけれど、それでもたまに遭遇してしまうんだよね」
自分でも対処できる日本の環境に、アメリカ人は驚き
アメリカの害虫駆除業者を比較できるサイト「PestExtinct」によると、定期的な害虫侵入予防サービスの料金は、3か月ごとの契約で100ドル~300ドルほど(約1万5000円~約4万円)。地域や住宅の規模、サービス内容によって費用は異なります。日本の業者でも、同様のサービスを3か月単位で契約した場合、およそ3万円前後になることもあります。
とはいえ、日本では一般家庭がこうした定期契約を結んで業者に依頼するケースは、まだあまり多くないようです。その理由のひとつは、家庭用の殺虫剤や忌避スプレーなど、市販品でも手軽かつ十分な効果が得られるものが豊富にあるからでしょう。
筆者がホームセンターで見た限り、アメリカには数種類の殺虫スプレー、毒餌と防虫剤がある程度で、日本ほどバリエーションが多くない印象でした。
この話をアメリカ人にすると、「え!? 本当に? うらやましいよ。市販品だけで済むなら、安くて最高だね」と驚かれました。筆者は日本にいたとき、毒餌を設置していたことから、10年近くゴキブリと遭遇しませんでした。「すごいね! 完璧なんだ」とうらやむ様子を見ると、日本製品のすごさを実感します。
高い効果が期待できる害虫駆除グッズを、手軽に購入できる日本。こうした環境が整っていることは、日常の安心にもつながっていると感じます。長年にわたって改良を重ね、生活者の不安を軽減する製品を生み出してきた企業努力には、頭が下がる思いです。
(Yo)
Yo(ヨウ)
新聞社に5年、ネットメディアに6年勤め、スポーツを中心に取材・執筆・編集活動をしたのちに退職。30代半ばでアメリカ・ロサンゼルスに拠点を移した。大学時代はバックパッカーとしてアジア、南米を放浪。仕事を含めて20か国近く訪れたものの、意思ばかり伝えてリスニングが苦手な一方通行イングリッシュに終止符を打つべく、英語習得にも励んでいるところ。
