仕事・人生
ワーホリ制度を活用して海外へ 安定より挑戦を選んだ日本人女性 決断の背景とは
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日本でのモヤモヤが新たな道への転機に
宇佐美さんは専門学校を卒業後、ベーカリーで4年、結婚式場で4年の計8年間、日本でパティシエとしてのキャリアを積んできました。ベーカリーでは15~16時間の長時間労働、結婚式場でも、婚礼が入れば半日以上働き続ける日々だったそう。
「そんな日々のなかで、ずっと憧れていたイギリスに住めるチャンスがめぐってきたことが、渡英を決意する大きなきっかけになりました。仕事の大変さから逃げたというよりも、夢に向かって一歩踏み出した、そんな感覚です」
一方の植木さんは、日本では看護師として勤務していました。
「親が望んでいた進路を選んで生きてきたけれど、心のどこかで『夢を叶えられなかった』という思いがこの後も残るのではないかと思いました」
安定した職を手放す決断は、簡単ではなかったものの、思わず親に愚痴をこぼすこともありました。「このまま終わっていいのかな」という思いが頭を離れなくなった社会人4年目に、まずは半年間の語学学校に通うことを決意。いったん帰国したあと、ワーキングホリデーへの応募につながりました。
「WA Cafe」で新しいキャリアがスタート

「WA Cafe」との出合いは、ロンドンをベースに運営されている、日本人向けの情報サイトでした。
「最初はやっぱり不安だったので、日本人がいる職場で働きたいと思っていました。そのなかで『WA Cafe』のケーキが一番きれいだったので、ここで働きたいと思いました」と、パティシエ目線での応募を決めた宇佐美さん。
日本で培った技術を生かし、現場で製造を担いながら、スキル指導やストックチェック、シフト管理、道具の管理などのマネジメント業務も担当しています。ワーキングホリデーの2年間を終え、現在は雇用者として「WA Cafe」からサポートを受け、就労ビザでキャリアを継続しています。
「日本で厳しく指導してもらって、ひと通りのスキルを学んでから来たので、ここでさらにブラッシュアップをさせてもらっている感じです」
植木さんは「日本に帰ったら、絶対また看護師に戻るだろうな」と考え、「せっかくワーキングホリデーの2年の期間しかないなら、今までやってきたことじゃないことをしてみよう」と、新たな分野でのチャレンジに飛び込みました。宇佐美さんと同様、ワーキングホリデー期間中に「WA Cafe」から就労ビザのオファーを受けました。
「就労ビザで5年頑張れば、永住権を取れるかもしれないし、そうしたらその後の選択肢が増えるのはいいかなと思って」と、当時を振り返った植木さん。現在は店舗マネージャーとしてスタッフをまとめる立場に。ロンドン中心部のコベントガーデンという忙しない土地で、地元のイギリス人だけではなく、観光都市を象徴するような多国籍のお客様と接する日々を送っています。
それぞれ異なる経歴を持ちながらも、ロンドンという環境に順応し、日本にいた頃には想像できなかった経験を重ねています。
後編では、海外での働き方を経験したふたりが感じた、日本との働き方の違いについて伺います。
(Hint-Pot編集部)