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サツマイモについた「黒いもの」の正体とは 食べても平気? 栄養士に聞いた
公開日: / 更新日:
教えてくれた人:和漢 歩実

甘くてホクホクしたサツマイモがおいしい季節です。家庭で調理しようとしたら、サツマイモの皮に黒い液体のようなものがついていて「これって食べても良い?」と、不安に思った経験があるかもしれません。黒いものの正体は、いったいなんなのでしょうか。サツマイモについて、栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。
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サツマイモ特有の成分で、ミツではない
サツマイモの皮に付着した黒い液体状のものは、ヤラピンという成分です。サツマイモを切ったときに、断面から白い乳液状の液体が出てきますが、それがヤラピンです。皮に黒くついているのは、収穫時に切りそろえた端や、搬送中にぶつかってできた傷からヤラピンが皮までにじみ出て、空気に触れて酸化し、黒く変色したものと考えられます。
ヤラピンは、食べても問題ありません。整腸作用があるといわれる成分で、便秘改善に効果的です。しかし、皮部分に出てきた黒いヤラピンは、土やホコリと一緒に固まってしまっていることがあります。取り除いて調理すると良いでしょう。
皮に黒くついているものが「あふれ出たミツなので、甘いサツマイモの証拠」といわれることがありますが、ミツではありません。
サツマイモを切ってしばらくすると、断面に黒い斑点が現れますが、この正体もヤラピンです。ヤラピンは、切ってすぐだと白い液体ですが、断面が空気に触れると黒くなり、斑点状になります。この場合も食べて問題ありません。気になる場合は、切ったあと水に浸してください。
一方で、サツマイモにふわふわしたものがついていたり、切ったら断面が黒かったりしたら、カビの可能性が高いです。皮にシワができてハリがなく、しぼんでいるものや、触ってみてぶよぶよとやわらかいものは、腐敗している可能性があるので処分しましょう。
サツマイモは土つきで保存を
サツマイモは、日持ちする野菜のひとつです。おいしい時期に大量に購入して保存している人もいるでしょう。ただし、保存の仕方を間違えると、すぐに傷んでしまうことがあるので注意したいところです。
実は、サツマイモは寒さに弱い野菜です。最適保存温度は13~15度といわれ、冷蔵庫など10度以下の場所に入れてしまうと低温障害を起こし、黒ずみや水っぽさ、甘みの低下につながります。保存するときは、冷蔵庫ではなく常温が良いでしょう。キッチンペーパーに包んで、風通しの良い冷暗所に置いておくのがおすすめです。冬場なら、暖房の当たらない部屋などが適しています。
また、掘りたてのサツマイモは、すぐに食べるよりも少し寝かせることで甘みが増します。泥を軽く払って、土つきのまま保存するのが理想的です。皮が乾燥から守られるので、長持ちします。洗ってしまうと皮から水分が抜けやすくなり、カビや傷みの原因になるため、土つきのまま保存して、調理の直前に洗うようにしましょう。
もしカットしたサツマイモを保存する場合は、切り口が乾燥しないようにラップで包み、冷蔵庫の野菜室で一時的に保管しましょう。数日のうちに使い切るのが安心です。
(Hint-Pot編集部)