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「イタリア人が見たら卒倒しそう」 信じられない日本独自のトッピング “本場”ではマナー違反な食べ方とは

公開日:  /  更新日:

著者:斎藤 理子

“本場”・イタリアでは信じられない! 日本のピッツァの食べ方とは(写真はイメージ)【写真:PIXTA】
“本場”・イタリアでは信じられない! 日本のピッツァの食べ方とは(写真はイメージ)【写真:PIXTA】

 日本でも大人気のピザ。しかし、日本では当たり前のように行われている“ある一手間”が、イタリア人にとっては「絶対にやってはいけない禁忌」とされているのをご存じでしょうか。ナポリのピッツェリアを取材してきたフードジャーナリスト・斎藤理子さんによると、場合によってはシェフや店主の機嫌を損ねてしまう可能性もあるそうです。

 ◇ ◇ ◇

イタリアなのにワインはない?

 イタリアでは「ピザ」と言っても通じません。そこで、ここでは「ピッツァ」に統一します。

 イタリアでは、ピッツァは夜に食べるもの。そのため、本格的なピッツェリアは夜しか営業していないことが多いです。昼間に食べたければ、スタンドやバールで売っている「ピッツァ・ア・ターリオ」という切り売りがあります。しかし、こちらは作り置きだしピザパンみたいな味だし、あまりおすすめはしません。

 また、意外なのが、合わせる飲み物です。おいしいピッツァにはワインが合いそうですが、ピッツェリアにはワインを置いていないところがほとんどです。ちょっと驚きますよね。

 では何を飲むのかといえばビール。ピッツァにはビールがイタリア人のお決まりです。アルコールがダメな人はコーラを飲みます。

 ボリュームがある粉物をビールやコーラの炭酸がすっきりさせてくれるなどと説明されますが、真偽のほどは不明です。

イタリア人が許せないトッピングとは

 日本では、ピッツァのトッピングが独自の発達を遂げています。シラスと九条葱とか、明太子とか、照り焼きチキンとか、タコとイカとか、ソースにマヨネーズを使うとか。

 イタリア人がみたら卒倒しそうですが、とてもおいしいですよね。さすが日本、これだけ種類豊富な独自のピッツァの発達は他国では見られません。在日イタリア人も、食べてみればおいしいのでハマる人も多いようです。

 そんななかで、イタリア人が絶対に許せないトッピングが2種類あります。それはパイナップルとコーンです。

 パイナップルはまあ理解できるとして、なぜコーンはNG? と思いますが、とにかくピッツァにコーンは言語道断だそうです。おいしいのにね。

「日本って、食に関してはやはりすごい国」

 それと、ピッツァにタバスコをかけるのは、ほぼ日本だけの習慣です。そもそもピッツァは「完成された料理」なので、それに自分で調味料を加えるのはイタリアではマナー違反です。

 タバスコ自体、置いてある店はほとんどないし、馴染みがない調味料です。辛味が欲しければ、乾燥した唐辛子を砕いたクラッシュド・チリをもらえることもありますが、シェフや店主の機嫌が悪くなるのでやめておいたほうがいいかも。

 ナポリで修行し、世界一や入賞を果たした日本人ピッツァイオーロは何人もいます。その人たちのお店に行けば、日本にいながらにして本格ナポリピッツァを味わえる。これは、本当に贅沢なことです。

 しかも、日本には本格派だけでなく、日本ならではのオリジナルピザ(こちらはピザですね)もあります。どちらも手頃な値段でカジュアルに楽しめる日本は、食に関してはやはりすごい国だと思います。

(斎藤 理子)

斎藤 理子(さいとう・りこ)

出版社で雑誌編集に携わったあと、イギリス・ロンドンなど海外に長年在住し、世界中をめぐって各地の食文化を体験。帰国後は日本国内外の食材生産者から、ミシュラン三つ星レストランや街角の立ち飲み店まで、幅広い食の現場を取材・執筆している。主な著作に「イギリスを食べつくす」(主婦の友社刊)、「隣人たちのブリティッシュスタイル」(NHK出版刊)がある。また、「アル・ケッチァーノ」の奥田政行シェフによる連載記事を編集・監修した「田舎のリストランテ頑張る」(マガジンハウス刊)の編著者でもある。2011年には、イギリス政府観光庁よりメディアアワードを受賞。現在、やまがた特命観光・つや姫大使を務める。