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「食欲なくなる」目玉に尾が刺さったサンマに賛否…実は伝統の調理法? 専門家「ふっくら焼ける」

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部/クロスメディアチーム

一風変わったサンマの焼き方が話題に(写真はイメージ)【写真:写真AC】
一風変わったサンマの焼き方が話題に(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 秋の味覚であるサンマ。今年は豊漁とあって、スーパーなどでもお手頃な値段で販売されています。王道の食べ方といえば塩焼きですが、一風変わったサンマの焼き方がネット上で話題を呼びました。「食欲なくなる」との声もある“サンマの目玉刺し”、由来はあるのでしょうか。投稿者と専門家に話を聞きました。

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ぐるりと体を丸められ、くりぬかれた目玉に尾びれが突き刺さった焼き方

「これほど食欲なくなるサンマの出し方ある?」

 先月下旬、SNS上で話題を呼んだサンマの塩焼きの写真。ぐるりと体を丸められ、くりぬかれた目玉に尾びれが突き刺さった焼き方に、ネット上では「食べにくそう」「ビジュって大事」「こういう焼き方も普通に昔からある」「七輪で秋刀魚を焼くにはこれが一番いい方法だそうです」「僕はこの焼き方の秋刀魚が1番美味しいと思っています」など賛否両論、さまざまな意見が寄せられています。

 投稿者によると、近所の庶民派の和食屋で提供されたものだといい、「麺類と、サンマの塩焼きが期間限定のおすすめにあったので注文しました。15分くらいかかると言われ、麺類を食べ終わってもまだ出てこず、20分後くらいに出てきたサンマは、尻尾が頭部を貫通した見たこともないフォルムでした。食べるには不便で、手を使わずサンマを箸できれいに食べるのが好きな自分にとっては食べにくいこともマイナスな印象でした」と経緯を語ります。

「単純においしそうに見えず、待ったわりに食べ方の説明もなく、個人的に食欲を刺激されなかったです。よく見たら目玉の部分をくり抜いてわざわざ尾びれを通していたので、焼く前にこんなことしてるのかと想像したらさらに食欲がなくなり、その旨を投稿しました」

 あまり見慣れないこの焼き方、果たしてどんな由来があるのでしょうか。東京海洋大・食品生産科学科の大迫一史教授によると、この焼き方は「サンマの目玉刺し」と呼ばれ、かなり昔からある伝統の焼き方のひとつだと言います。

「サンマは焼くと身が固まって伸縮性がなくなりますが、真ん中にある骨は比較的伸縮性が残っているため、曲がった身を伸ばしたときに身と骨がずれて剥がれやすくなります。アユやイワナの串焼きなど、川魚をよじった状態で串に刺して焼くのと同様の理由だと思われます。また、腹の部分を下にすると、内臓も一緒に焼く場合、におい成分が多い内臓部分をある程度焦がすことにより、生臭さを和らげる効果も期待できます」

 他にも、「身のついた背中側を焼きすぎないことでふっくら焼ける」「熱源に近く焦げる部分を腹部の狭い面積だけにとどめることができる」「小さい七輪などで焼くときにはみ出さずまんべんなく焼ける」といったメリットがあるそう。

 おいしいサンマの見分け方について「お腹の部分や内臓が最も脂が乗っています。魚体は大きく、背中が盛り上がっている方が脂が乗っています」と大迫教授。まだまだ旬が続くこの季節、たまには変わった焼き方でサンマを食べてみるのもいいかもしれませんね。

(Hint-Pot編集部/クロスメディアチーム)