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なぜ「きんぴらゴボウ」と呼ぶのか? 定番おかずの意外すぎるルーツとゴボウの栄養を聞いた

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:和漢 歩実

食物繊維やミネラルなど栄養豊富なゴボウ

 ゴボウを常食する文化は、世界的に珍しいといわれています。外国の人が「木の枝」とか「食べ物ではない」などと誤認した話をよく見聞きしますが、栄養面で非常に優れた根菜のひとつです。

 まず、豊富な食物繊維が挙げられます。日本食品標準成分表(八訂)増補2023年によると、100グラムあたりの食物繊維は5.7グラムで、野菜のなかでトップクラス。レタスの5倍以上、大根の4倍以上、キャベツの3倍以上で、近年人気があるブロッコリーの5.1グラムよりも多いです。水溶性と不溶性、どちらもバランス良く含まれています。

 水溶性食物繊維にはイヌリンが含まれており、食後の血糖値の上昇をゆるやかにする作用や、動脈硬化の予防が注目されています。また、不溶性食物繊維はセルロースやリグニンを含み、整腸作用が期待できるでしょう。

 ミネラルも比較的多く、体内の水分や塩分を調整し、むくみ緩和が期待できるカリウム、丈夫な骨に欠かせないカルシウム、貧血予防の鉄などが、栄養特徴として挙げられます。低カロリーなので、ダイエットや生活習慣病、腸内環境などが気になる人は、ぜひ活用したい食品です。

皮部分には香りや旨味も

 きんぴらゴボウなどでゴボウを調理する際、どこまでが皮なのか区別しにくく、処理に迷うこともあるでしょう。表面の汚れを落としたら、ピーラーで皮をすべてむき、白い部分だけにしている人もいるかもしれません。

 実は、ゴボウの香りや旨味は、皮部分に多く含まれています。加えて、皮には強い抗酸化作用があることで知られるサポニンが存在します。風味や栄養メリットをとりたい場合は、「表面をこそげ落とす」程度にすると良いでしょう。アルミホイルを丸めて軽くこすると、簡単に下処理ができます。

 先人の知恵や文化を知りつつ、旬の香りや栄養を丸ごと味わうと、また違うおいしさの発見があるかもしれません。

(Hint-Pot編集部)

和漢 歩実(わかん・ゆみ)

栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾