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窓にプチプチ…実は危険? 直貼りでガラス破損の可能性も プロが教える正しい寒さ対策

公開日:  /  更新日:

著者:和栗 恵

教えてくれた人:伊藤 まき

部屋が寒いときの対処法として緩衝材を使うときの注意点は?(写真はイメージ)【写真:PIXTA】
部屋が寒いときの対処法として緩衝材を使うときの注意点は?(写真はイメージ)【写真:PIXTA】

 冬になると、暖房効率を上げるために緩衝材、いわゆるプチプチを窓に貼る人が増えます。一見手軽でコスパも良さそうですが、実は貼り方を誤ると、ガラスの破損や結露による劣化を招くことも。NGな使用法について、整理収納アドバイザーとして多数の家に訪問した経験と、掃除系記事を書くために窓メーカーに取材した経験を持つ、伊藤まきさんにお話をお聞きしました。

 ◇ ◇ ◇

窓ガラスに直接貼るのはおすすめしない理由

「コスパが良い」「はがしやすい」といった理由で選ばれがちなプチプチですが、最もおすすめしないのは、窓ガラスに直接貼り付けるタイプです。

 ガラス表面の温度は確かに上がりますが、実際にはサッシ枠や窓と壁のすき間など、冷気の侵入口をカバーできません。そのため、断熱効果はごくわずか。さらに、結露による劣化や水滴の滞留で窓枠や壁を傷めるリスクもあります。

緩衝材で断熱した窓(写真はイメージ)【写真:PIXTA】
緩衝材で断熱した窓(写真はイメージ)【写真:PIXTA】

 もうひとつ重要なのが、ガラスの種類の確認です。中に金属のワイヤーが入った「網入りガラス」は、プチプチを貼ると内部に熱がこもりやすく、ガラスと金網の膨張率の違いによって熱割れが起こることがあります。これはガラスがひび割れる現象で、非常に危険です。網入りガラスには絶対に貼らないようにしましょう。

効果的な代替アイテム

 プチプチよりも少し費用はかかりますが、ポリカーボネートの中空板(プラスチック製の段ボール状パネル)や厚手のビニールシートを使うのがおすすめです。

 これらで窓を覆えば、簡易的な二重窓状態を作ることができ、冷気の侵入を大幅に防止できます。とくにプラスチック段ボールは結露の拭き取りが簡単で、夏場の冷房効率アップにも役立つため、年間を通して活用できます。

 ただし、これらはあくまで一時的な対処法です。窓の開閉がしづらくなるなど、生活の不便さも残ります。もし持ち家であれば、思い切って二重窓の設置を検討してみましょう。国や自治体の補助金制度を利用すれば、工賃を30~50%程度抑えられる場合もあります。申請や手続きは業者が代行することが多いため、まずは近くの工務店やリフォーム店に相談してみるのが安心です。

 冬の寒さを乗り切るためには、見た目やコスパだけでなく、「長く安全に使える」方法を選ぶことが大切です。

(和栗 恵)

伊藤 まき(いとう・まき)

整理収納アドバイザー1級、クリンネスト2級。ホテル清掃員や国鉄系レストランの厨房、内装会社、デパートの搬入搬出などで経験を積み、出版社に入社したのち独立。掃除しながら片づける「整理収納のプロフェッショナル」として各種ウェブメディアで記事を手がけ、掃除本の編集ライターとしても活躍中。
インスタグラム:maki_organize