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重婚日記~笑撃の結婚生活~第7話 「夫はブラックリスト、私は単独でマイホーム購入」
公開日: / 更新日:
教えてくれた人:坂本 尚志

戸籍のある日本で「国内で重婚」が起こり得るとは――。役所に提出した婚姻届は正式に受理済みでしたが、本人も気づかないまま制度の盲点にはまっていたようです。普通の結婚生活のはずが、想定外の出来事が続き、日常は一変しました。何が本当で、何が嘘だったのか。これは、波乱と笑い、そしてレジリエンスに満ちた、ひとりの女性の実話です。
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マイホームを2回も単独名義で購入
国際結婚したRoccoさんは、第2子妊娠時に夫が重婚していることを知り愕然。しかし、持ち前の行動力でどうにか円満離婚へと導くことができた。その後、第3子も誕生し順風満帆かと思いきや、夫は家事も育児も手伝わないうえ、無職状態に。3度目の離婚宣告をしたことで、夫も家事や育児を少しながら担うようになり、仕事も再開した。
結婚後、都内の広めの戸建てに住んでいたものの、通勤に1時間かかるのが負担で、都心のマンションへ引っ越した。しかしそのマンションも、子どもが生まれるとすぐ手狭になった。そこで、2人目が生まれたあと、私の単独ローンでマンションを購入することにした。
なぜって? 夫は債務整理をしたから、当面ローンが組めない。だから、買いたければ私が買うしかないのだ。
そうして手に入れた初めてのマイホームだったが、それでも間取りは決して広くない。夫だけ個室があり、子どもたちと私は同じ部屋で過ごすという状態だった。
子どもたちが成長するにつれ、また家が手狭になっていった。そこで私は、また単独ローンで戸建てを建てることに。そこだって十分な広さはなかったが、当時の私が組める最大限のローンだった。
仕事と育児と家事の合間に、契約から家づくりの打ち合わせまで、すべてひとりでこなすのはかなり大変なことだ。それでも、自分で間取りを決めたり、内装を決めたりするのはとてもうれしい時間だったから頑張れた。
広くはないながらもセンスのいい家ができて、私は満足していた。しかし、自分で建てた家なのに、夫と子どもに部屋を当てがうと、またもや自分の部屋を持てず、屋根裏のロフトで寝ることに。でも、これも自虐ネタにして笑い飛ばしていた。
波乱の結婚生活だけれど、家庭はめちゃくちゃ円満
借金完済、重婚解消を経て、無職の夫を抱えながらマイホームまで建ててしまう私は、無謀なのか、パワフルなのか。ついでに社会人大学院にまで通っていた。よくわからないが、やりたいこと、そしてできることはすべてやるという方針のもと、常に前進し続けてきたと思う。
夫はというと、その後さまざまなご縁がつながり、在宅ワークでもかなり条件のいい仕事をもらえるようにもなった。
いつも元気で活動的な私と、にぎやかな家族。どこからどう見ても円満家庭にしか見えなかったと思う。振り返ると、ものすごく波瀾万丈な日々だったと思うが、すべて解消して乗り切った。普段の私は、苦難をカラッと忘れて、日々楽しく忙しく仕事と育児に励んでいた。
夫は人当たりがとてもいいので、「いい旦那さんね」と言われることも多かった。その一方で、夫の実際の生活ぶりはというと、アメリカで思春期を過ごしたからか、ジャンキーな食生活を抜け出せずにいた。そのため、さまざまな持病を抱え、週に数日は具合が悪いと言って寝込む状態。
私は子どもができて以来、毎晩手料理を作っていたけども、夫は気分によって食べたり食べなかったりが多く、朝昼はいつも栄養バランスの偏ったコンビニ飯だった。いくら健康管理を伝えても、響かなかった。そりゃ病気になるのも自業自得だし、病気のオンパレードに、さすがに嫌気が差すことも増え、参ってしまいそうにもなった。
刑法第184条では、すでに配偶者がいる者が別の相手と婚姻した場合を「重婚罪」と定めています。ただし、実際の現場では、意図的なものばかりでなく、外国との戸籍や手続き上の制度の違いや、ミス・誤認などによって、意図せず結果的に重婚状態になってしまうケースもあり得ます(清陵法律事務所・坂本尚志)。
(Rocco)
