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「お金がいくらあっても足りない…」 スポーツ特待生を熱望 アメリカの私大1年分の学費が日本の4年分を上回る衝撃の学費事情

公開日:  /  更新日:

著者:i-know

ハワイの州立大学。私立大学と比べて年間の学費は安い【写真:i-know】
ハワイの州立大学。私立大学と比べて年間の学費は安い【写真:i-know】

 子どもを持つ親同士の会話といえば、子どもの進路についてが多くなりがちです。とくにハワイでは、大学にまつわる「お金の話」がテーマになることが多くなると、ハワイで子育てをする主婦ライターのi-know(いのう)さんは言います。そして、「お金がいくらあっても足りない……」と、将来に不安を感じているのだとか。第81回は「スポーツで奨学金」です。

 ◇ ◇ ◇

日本の私大4年分の学費よりも、アメリカの私大1年分の学費は高い

 日本で“早期教育”といえば、幼児期からお勉強系の習い事をさせるイメージですよね。一方、ハワイでは、勉強よりもスポーツの早期教育に力を入れる家庭が多いです。

 その理由のひとつとして、「スポーツ推薦で大学に入って、奨学金をもらってほしい」と考えている親御さんが、日本よりも多いことが挙げられると思います。

 というのも、アメリカの4年制大学の学費は年々値上がりし、家計を圧迫。一般家庭の子どもが奨学金なしで4年制大学に行くのは、とても難しいという現実があります。

 アメリカの大学のデータベースをまとめた「BestColleges」というウェブサイトによると、私立大学の授業料の年間平均は4万3350ドル(約677万円)で、住居費などを含む「在学コスト」は年間6万ドル(約937万円)前後に達する場合もあるそうです。学費に加えて、離れて暮らせば生活費もかかるので、奨学金なしで子どもを大学に行かせることができる家庭は、ごく一部の富裕層に限られます。

 では、日本の大学はどうでしょう。株式会社リクルートが運営するウェブサイト「スタディアプリ」によると、入学金を含む4年間トータルの学費は、私立大文系で約398万円、理系で約542万円だそうです(※医科歯科系は省く)。つまり、アメリカの私立大の1年分の学費は、日本の私立大の4年分の学費を上回っているのです!

 アメリカでも、とくに都市部の中間層では日本と同じように学歴志向が強く、大学に進学するのが一般的です。最近は大学院まで進むケースも増えてきています。我が子を大学・大学院に行かせるため、ハワイでは親が仕事を2つかけ持ちするケースが珍しくないですし、学生ローンを利用する家庭も多いです。

 しかし、学生ローンは、あとあと子どもたちに重くのしかかることが社会問題になっているので、ハワイの親は「スポーツ特待生として奨学金をもらうこと」を真っ先に考える人が少なくありません。

スポーツで奨学金を狙いたい理由

 では、誰もがスポーツ特待生として奨学金を狙えるのか? というと、もちろん簡単ではないですが、日本よりもスポーツ推薦枠は広いそうです。

 大学からスカウトされなくても、高校生が自分から直接、大学スポーツのコーチに連絡して、売り込むこともできます。実際に、幼少時代からサッカーを続けていた知り合いの息子さんは、自己推薦でアメリカ本土の大学にアプローチ。スポーツ特待生として入学が認められ、奨学金をゲットしました。

 一方、失敗例としては、親が奨学金を夢見て熱心になりすぎた結果、思春期の子どもとの軋轢が生まれてしまった知人親子がいます。さらに、ハードな練習が原因で体を壊し、競技ができなくなってしまった知人の娘さんも……。

 日本でもスポーツに没頭する中・高校生は多いですが、ハワイの場合は、ティーンエイジャーになった子どもに対しても、親がどっぷりと介入しているケースが多いと個人的に感じます。

 ちなみに、奨学金はスポーツ特待生だけでなく、成績優秀者や学校外での飛び抜けた活動実績がある学生に対しても設けられています。

 しかし、ハワイは全米でも学力レベルが低いほうなので「学生時代、勉強なんてまったくしなかったよ。ハハハ!」と開き直っている親御さんが私の周りには多く……(笑)。自分の子どもに関しても「勉強では無理だけど、スポーツでなら大学まで行ける!」と考えている家庭が多い印象です。

 だからなのか、実際ハワイには、勉強はそこそこだけれど運動神経が抜群に良い子どもが多いと感じます(個人の見解です)。

 それと比較して、うちの8歳の息子は運動はそこそこ。なんとか学力を伸ばして「大学の奨学金をとってほしい!」……と願うことも、ハワイの親同様、完全に“親のエゴ”なのかもしれません。

※1ドル=156円で換算(11月29日現在)。

(i-know)

i-know(いのう)

大学卒業後、フリーランスライターに。お笑い雑誌やファッション誌で、著名人のインタビューを中心に活躍。34歳のとき日本のキャリアに一区切りをつけ、単身ニューヨークへ。その後、ハワイのロコ(地元民)と結婚し、現在は2人の子ども(8歳、6歳)をバイリンガルに育てるべく奮闘している。