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ホテルで館内着のまま歩き回るのはなぜNG? “マナー違反”にならないための正しい使い方とは
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ホテルの客室に用意された館内着は、快適な滞在を演出してくれる重要なアイテムです。日本のホテルでは、ゆったりとしたパジャマタイプや、温泉旅館では浴衣が提供されることもあります。ただ、この館内着にも適切な使い方やマナーが存在します。ホテルのエキスパートとして活躍する小林千花さんに、館内着の正しい使い方について教えていただきました。
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館内着は「客室内で過ごすための衣類」
ホテルで用意されている館内着は、客室内でリラックスして過ごすために提供されているアイテムです。自宅にいるような快適さや、くつろぎの時間をサポートする役割を持っています。
しかし、快適だからといって、館内着を着たままホテル内のあらゆる場所へ出かけて良いわけではありません。一般的なビジネスホテルやシティホテルでは、館内着は「客室内で過ごすための衣類」と位置づけられており、ロビーやレストランなど公共スペースでの着用は控えるべきとされています。
その理由は、他の宿泊客への配慮が第一です。公共の場で部屋着姿の人が行き交う光景は、周囲に不快感や違和感を与える可能性があります。また、館内着は寝間着として使われていることが多く、清潔面の観点からも共用スペースでの着用は好ましくありません。
さらに、ホテル側としても施設の品位を保つため、一定のドレスコードを設けている場合もあります。館内着を公共スペースで着用しないことは、他の宿泊客の快適さやホテルの秩序を守る行為でもあるのです。
ただし、宿泊施設によってルールは大きく異なります。とくに温泉旅館では、浴衣を館内着として想定しており、ロビーや売店を含めて全館着用OKとしている場合も少なくありません。
館内着の着用ルールは施設ごとに異なるため、初めて宿泊するホテルでは、客室内の案内やチェックイン時の説明をしっかり確認しておくことが大切です。不安な場合は、フロントに直接尋ねると安心でしょう。
館内着で歩いていい範囲とは
館内着のまま客室を出ても良い場合は、基本的に客室から大浴場までの往復が一般的に許容される範囲です。ホテルの廊下や大浴場へ向かうエレベーターなどでは、館内着のまま移動しても問題ないでしょう。また、施設によっては売店や休憩所なども利用可能な場合もあります。
一方、レストランやバーなど、落ち着いた雰囲気や一定の格式が求められる空間では、館内着での入店は控えるのがマナーです。食事会場や共有ラウンジについては、施設によって対応が異なるため、事前に確認しておくと安心です。基本的には、公共スペースでは外出用の服装に着替えることが無難といえます。
チェックアウト時は脱いだままでOK
宿泊を終えて部屋を出る際、着用した館内着は脱いだまま置いておいて問題ないでしょう。ホテルの館内着は回収後にクリーニングされることを前提としているため、わざわざたたむ必要もありません。ベッドの上や椅子の上など、清潔な場所にまとめて置いておけば十分です。
もちろん、きれいにたたんでおくこと自体はマナー違反ではありません。しかし、たたまずそのまま置くことで、スタッフが広げて確認する作業や仕分けの手間を省くことができます。そのため、ホテル側としても、そのまま置いておくことが一般的に受け入れられていると考えられます。
館内着は、宿泊施設の心遣いが詰まったアイテムです。それぞれの施設のルールを守り、適切なマナーで利用することで、心地よく過ごせる空間が生まれるでしょう。
(小林 千花)

小林 千花(こばやし・ちか)
1995年10月3日、東京都港区生まれ。2018年から生島企画室に所属し、舞台を中心に俳優として活動。曽祖父が都内でホテルを創業し、“ホテル一家”に生まれ育ったホテルのエキスパート。特技は「一度お会いした人の顔と名前を覚えられる」。趣味はホテルめぐり、宝塚観劇。「利き酒師」の資格も持っている。身長155センチ、血液型O。
