からだ・美容
のど飴は逆効果? 耳鼻科医が警鐘を鳴らす「休まずなめ続けること」の落とし穴 風邪予防の新常識「のど保湿」が重要な理由
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教えてくれた人:内尾 紀彦

本格的な冬の到来とともに、風邪やインフルエンザが猛威をふるっています。「のど飴」で対策をしている人も少なくないでしょう。しかし、実はこの身近な風邪予防グッズが、かえってのどを乾燥させている可能性もあるようです。耳鼻咽喉科専門医の内尾紀彦先生に、冬の感染対策の落とし穴と予防対策について伺いました。
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のど飴が「逆効果」になるメカニズム
良いと思って舐めていたのど飴が、なぜ逆効果になってしまうのでしょうか。内尾先生によると、それは、糖分がのどの水分を奪い、唾液をネバネバにしてしまうためです。
「ナメクジに塩をかけると縮むのと同じような原理です。濃い糖分がのどの細胞に触れると、『水分を吸い取る力(浸透圧)』が働き、細胞から水分が奪われてカラカラの脱水状態になります」
水分が奪われると、本来サラサラしている唾液が「ネバネバ」に変わり、これがのどのイガイガや不快感を増す原因になるといいます。
逆効果になるのは、のど飴が「糖分○%以上」という数字よりも、「休まずなめ続けること」が問題だと内尾先生は指摘。常に飴が口にある状態だと、のどが休まる暇がなく、脱水ダメージを受け続けてしまうのです。ノンシュガーのものであっても、あくまで「一時的な潤い」と考え、四六時中なめ続けるのは避けましょう。
実際、「良かれと思って1日1袋なめた」結果、逆に咳が止まらなくなったり、虫歯や急激な血糖値上昇を招いたりしたケースもあるそうです。「のど飴は舐め続けず、のどを休ませる意識を持つ」ことが大切です。
感染対策はタイミングが命
のど飴以外にも、冬のケアで見落とされがちなのが「タイミング」です。多くの人が「のどが痛くなってから」ケアを始めますが、それでは手遅れだと内尾先生は言います。
「違和感が出る前の元気なときからケアをしないと、予防効果は激減します。のどの保湿と聞くと、のどの痛みを和らげるためと思う方も多いかもしれませんが、感染予防効果を高めてくれることもぜひ知っていただければと思います」
感染対策は「家の防犯」と同じ。内尾先生は、ウイルスへの最強の守備として、以下の3つをセットで行うことを推奨しています。
1、門(うがい・手洗い・マスク):ウイルスを敷地に入れない
2、玄関のカギ(のど保湿):ウイルスを粘膜の奥へ侵入させない(乾燥するとカギが開いて侵入を許してしまう)
3、警備員(免疫力):万が一ウイルスに侵入されても、戦って勝つ
とくに冬は、2の「のど保湿」と3の「免疫力」を組み合わせることで、防犯レベルを最大にできます。