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実家での性行為はあり? 帰省中でも求めてくる夫にモヤモヤ 夫婦カウンセラーがアドバイス
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教えてくれた人:夫婦カウンセラー・原嶋 めぐみ

年末年始の帰省は、家族が顔をそろえる特別な時間です。けれど、その一方で「正月が近づくほど気が重くなる」という女性も少なくありません。毎年、年末年始には互いの実家に帰省するという30代女性は、親や子どもがすぐそばにいる実家で、夫から夫婦生活を求められることに戸惑いを感じているといいます。夫婦カウンセラーの見解とは。
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実家で求められ、困惑するばかり
「夜の夫婦生活にも“TPO”は必要ですよね?」
そう問いかけるのは、神奈川県在住の小田佐恵子さん(仮名・30代)です。2人の子どもを育てる専業主婦で、年末年始には、家族そろって遠方の実家に帰省するのが恒例になっています。
帰省は本来なら、両親に孫の成長を見せられる大切な時間。しかし、佐恵子さんにとってここ数年の帰省は、近づくにつれて気が重くなる行事へと変わっていきました。
「夫が、帰省中も夫婦生活を求めてくるんです……」
下の子がまだ小さいこともあり、佐恵子さんは普段から、子どもたちと一緒に寝ています。夫は平日の帰りが遅く、寝室はひとりで別。家族でゆっくり過ごせる時間は多くありません。そのため、“夫婦の時間”を持てるのは、月に1度あるかないかだといいます。
「家だとお互い忙しくて、なかなかふれあう時間がないから。帰省中くらいは」というのが、夫の言い分です。しかし、薄い壁を隔てた隣の部屋には両親が眠り、部屋数の関係から、佐恵子さん家族に与えらえているのは1室のみです。すぐ隣で子どもが無防備に寝息を立てている空間で、気持ちを切り替えることはできません。
「すぐ隣で、子どもが寝ているんですよ? それに、シャワーも気軽に浴びられない状況で、正直、そういう気分になれないんです。今年も求められたらと思うと……考えるだけで気が重くなってしまって」
夫婦ふたりの時間を作り、話し合いを
時や場所は違えども、佐恵子さんのように「え、今ここで?」と戸惑った経験を持つ女性は、少なくありません。夫婦カウンセラーの原嶋さんに、向き合い方を聞きました。
「夫婦であっても、嫌なことは嫌だと伝えていいのは大前提です。行為を断ったことで不機嫌になったり、責めたりするようであれば、それは健全な関係とはいえません。まずは、おそれずに『したくない』と伝えることが大切です」
ただし、伝え方には工夫が必要だといいます。
「帰省前に、落ち着いた状態で夫婦ふたりの時間を持ちましょう。帰省中は親や子どもに気を遣ってしまい、気持ちが乗らないこと。そのまま無理を続けると、夫婦生活自体が苦痛になりかねないこと。前提として、夫との関係やスキンシップを否定しているわけではないこと。これらを、感情的にならず、順序立てて伝えてください。事前にメモを用意するのも有効です」
それでも理解が得られない場合について、原嶋さんはこう続けます。
「人によっては、性的な欲求のコントロールがうまくできず、場所や状況への配慮が欠けてしまうケースもあります。そうした傾向が強い場合は、『あなたを責めたいわけではなく、心配している』という姿勢で、専門家への相談を提案するのもひとつの方法です」
また、帰省中の具体的な対策として、環境を変える提案も。
「どうしても不安が強い場合は、母親に事情を話し、寝室を男女で分けてもらうなど、物理的に距離を取る工夫も有効です。周囲に子どもや親がいる状況で、性行為を求められることに違和感を覚えるのは、自然な反応です。その認識を共有することが最優先です」
(和栗 恵)