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「日本の精神は素晴らしい」 アメリカ人が感心した日本ならではの年末文化 「良いアイデアね」
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日本では、年末に家中を掃除し、新しい年を迎える習慣が根付いています。身の回りをきれいにするだけでなく、清々しい気持ちにもなれる大掃除。海外では、同じ掃除でも時期や意味合いが異なり、日本の文化が新鮮に映ることもあるようです。6月下旬からアメリカ・ロサンゼルスに住むYoさんが、現地の生活事情や、外国人から見た日本の印象などを綴るこの連載。第22回は、アメリカ人が感心した日本の大掃除文化についてです。
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大掃除の時期と意味合いに違い
年の瀬が迫るにつれ、「そろそろ大掃除を」という気持ちになりますが、今年の年越しはロサンゼルス。ホームステイ先のホストマザーに、大掃除について聞くと「アメリカで年末に掃除をするというのは聞いたことがないわ」とのことです。そして、アメリカでは「Spring cleaning」といって、春にまとめて掃除をする家庭が多いと教えてくれました。
「確かじゃないけど、冬は家中を締め切っていてホコリが溜まるから、それを一気に掃除するんだと思う。暖炉がある時代とかは、とくに必要だったのよ」
ただ、ロサンゼルスは冬でも比較的暖かく、ホストファミリーの家では窓を開けて換気をするのが日常です。そのため、ママは「春に一気にやる必要はない」と話します。
日本の大掃除文化に感心
日本の大掃除は、新年に向けて1年分の汚れを落とし、神様を迎える準備をする意味合いもあり、古くから続く年中行事のひとつです。窓や床、水回りだけでなく、普段は手が回らない場所まで丁寧に整えることで、気持ちもリセットされていきます。忙しい年末でもこの習慣が残っているのは、区切りを大切にする日本人らしさの表れかもしれません。
そんな日本の大掃除について伝えると、ママはうなずきながら感心していました。
「良いアイデアね。身も心もきれいな気持ちで新年を迎えるという考えは、私たちにとっては新鮮。アメリカはクリスマスのほうが大切だから、日本ほど1月1日のことは考えていないのよ」
たしかに、アメリカではお正月について、大きなイベントとしてとらえない家庭がほとんどです。それでもママは、「そういう日本の精神は素晴らしいと思う」と話していました。
新しい年の始まりを大切にし、そのために暮らしを整える、日本の大掃除文化。海外の視点を通して見ると、当たり前だと思っていた習慣の中に、心を整える知恵と美しさが詰まっていることに改めて気づかされました。
(Yo)
Yo(ヨウ)
新聞社に5年、ネットメディアに6年勤め、スポーツを中心に取材・執筆・編集活動をしたのちに退職。30代半ばでアメリカ・ロサンゼルスに拠点を移した。大学時代はバックパッカーとしてアジア、南米を放浪。仕事を含めて20か国近く訪れたものの、意思ばかり伝えてリスニングが苦手な一方通行イングリッシュに終止符を打つべく、英語習得にも励んでいるところ。
