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「絶対こっちがいい」 アメリカ人が絶賛する日本の伝統文化 日本人が思わず驚いた、餅の食べ方とは

公開日:  /  更新日:

著者:Yo

ロサンゼルスで開催された餅つきの様子【写真:Yo】
ロサンゼルスで開催された餅つきの様子【写真:Yo】

 餅つきには、五穀豊穣や家内安全、子孫繁栄の願いが込められ、日本の正月文化を象徴する行事のひとつです。年の節目を、家族や地域で共有するための大切な営みとして、古くから受け継がれてきました。そんな日本ならではの伝統行事が、実は海外でも親しまれています。6月下旬からアメリカ・ロサンゼルスに住むYoさんが、現地の生活事情や、外国人から見た日本の印象などを綴るこの連載。第23回は、アメリカ人にも愛される日本の餅つき文化についてです。

 ◇ ◇ ◇

アメリカで本格的な餅つきを開催

 ホストマザーに連れられ、ロサンゼルス市内の仏教寺院で行われた餅つきに参加しました。今年で58回目にもなる恒例行事だそうです。日系人を中心に、およそ100人が集まり、アメリカ人の姿も多く見られました。もち米をせいろで蒸し、臼と杵でつく工程は、想像以上に本格的でした。

 子どもたちは興味津々で杵を握り、大人たちは自然と声をかけ合います。老若男女が分け隔てなく交わる様子は、どこか穏やかで平和的です。毎年参加しているというアメリカ人のママは「ここに来れば、みんな家族になれる」と、この行事への思いを語ってくれました。

「初めて会った人同士でも、作業をしている間にたくさんおしゃべりができるでしょう。地域のコミュニティを大事にする日本文化は、大きな意味があるよね」

 年の節目に人が集まり、力を合わせて餅をつく。ひとりではできない作業だからこそ、自然と助け合い、会話が生まれ、関係が深まっていきます。世代や立場を越え、共同作業を大切にする日本の価値観は、海を越えたアメリカにも広まっているように感じました。

ホストマザーのしょうゆ餅に衝撃

 家に持ち帰った餅は、しょうゆ餅にして楽しみました。毎年食べているというホストマザーは、砂糖の容器を逆さにし、ドバドバとしょうゆの中へ。まるでシロップのような甘さです。「しょうゆ餅は大好き」とママは笑い、「甘くするのが最高。まだ足りないくらいだわ」と“追い砂糖”までしていました。

「日本ではこんなに入れないの? 私は絶対にこっちがいい。お雑煮も食べたことがあるわよ。もちろん、こんなに甘くはなかったけど、それはそれでおいしかった」と、ママにとって餅はデザートに近い存在のようです。

 日本でも砂糖しょう油で餅を食べるのは一般的ですが、ママの食べ方はなかなか衝撃的でした。

 日本の正月行事を通じて人が集まり、大切にされ続けている光景は、日本の食文化の深さを改めて教えてくれます。海の向こうでも受け継がれる餅つきは、国籍に関係なく多くの人の心を掴んでいました。

(Yo)

Yo(ヨウ)

新聞社に5年、ネットメディアに6年勤め、スポーツを中心に取材・執筆・編集活動をしたのちに退職。30代半ばでアメリカ・ロサンゼルスに拠点を移した。大学時代はバックパッカーとしてアジア、南米を放浪。仕事を含めて20か国近く訪れたものの、意思ばかり伝えてリスニングが苦手な一方通行イングリッシュに終止符を打つべく、英語習得にも励んでいるところ。