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日本の正月料理を食べたのに「知らなかった」 ただの食事ではない、アメリカ人が感銘を受けた精神

公開日:  /  更新日:

著者:Yo

日本のおせち料理。アメリカ人ママはエビや黒豆がお気に入り(写真はイメージ)【写真:写真AC】
日本のおせち料理。アメリカ人ママはエビや黒豆がお気に入り(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 おせち料理は新年を祝うためのもので、家族の無病息災や長寿、家内安全、豊作など、その年の幸せを願うさまざまな意味が込められています。料理や食材の一つひとつに縁起を担ぐ由来があり、正月の食文化として受け継がれてきました。ただ、なじみのない外国人には、その精神や価値観が新鮮に映るようです。6月下旬からアメリカ・ロサンゼルスに住むYoさんが、現地の生活事情や、外国人から見た日本の印象などを綴るこの連載。第24回は、アメリカ人が感銘を受けた日本のおせち料理についてです。

 ◇ ◇ ◇

アメリカ人がおせち料理の意味に感銘

 おせち料理は、食材ごとに縁起の意味が込められ、新年の家族の健康や繁栄を願う祝い膳です。また、日持ちする料理をあらかじめ用意することで、三が日は台所に立つのを控える目的があるともいわれています。手間を惜しまず整えるその習慣からは、新年を落ち着いて迎え、家族と過ごす時間を重んじる日本の価値観がうかがえます。

 筆者が暮らすホームステイ先のホストマザーには、日本人の叔父がいました。誕生日が年明けだったことから、1月1日に家族で集まる年もあったそうです。その際、ママはおせち料理を食べ、「エビとか黒い豆がおいしかった」と印象に残った味があるようです。

 おせち料理にはその年の幸福や長寿、家族の健康を願う意味が込められていることを説明すると、ママは「すべて必要なことね! そんなに意義深い料理だなんて知らなかった」と目を丸くしていました。さらに「いつも思うけど、日本の、なんにでも敬意を払ったり感謝したりする心は大切ね」と感心した様子でした。

日本の正月に似たアメリカの祝日とは

 一方、アメリカの新年料理については「地域によって多少あるかもしれないけど、ロサンゼルスのものはとくに思いつかない」と話します。

「アメリカはいろいろな文化を持つ人が混ざっているから、全土共通になるのは難しいと思う。新年よりクリスマスが中心だし。でも、たくさん料理を作るし、感謝をするという点で、サンクスギビングデーが日本の正月と似ているわね。事前に一気に作れば、しばらく料理をしなくて済むでしょ。用意は大変だけど、日本のママたちも(おせちで)数日間はゆっくりできるんじゃないかしら」

 サンクスギビングデーは、家族や友人が集まり、収穫や日々の恵みに感謝を捧げる日です。アメリカでは毎年11月の第4木曜日とされ、この日は祝日となります。食卓には七面鳥のローストを中心に、マッシュポテト、クランベリーソース、パンプキンパイなどが並び、筆者も当日、ママの手料理をいただきました。

 意味を知ることで、料理はただの食事から文化へと変わります。自分だけでなく大切な人の幸福を願い、感謝の心を伝えるおせち料理。日本人が受け継いできた精神の素晴らしさに、改めて気づかされました。

(Yo)

Yo(ヨウ)

新聞社に5年、ネットメディアに6年勤め、スポーツを中心に取材・執筆・編集活動をしたのちに退職。30代半ばでアメリカ・ロサンゼルスに拠点を移した。大学時代はバックパッカーとしてアジア、南米を放浪。仕事を含めて20か国近く訪れたものの、意思ばかり伝えてリスニングが苦手な一方通行イングリッシュに終止符を打つべく、英語習得にも励んでいるところ。