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そば湯は残しても大丈夫? 大晦日前に知りたい飲み方とマナー 栄養士がメリットを解説

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

そば店で食後に出されるそば湯(写真はイメージ)【写真:写真AC】
そば店で食後に出されるそば湯(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 もうすぐ大晦日。年越しそばを専門店で食べる人もいるかもしれません。盛りそばやざるそばを店で注文すると、地域によってはシメにそば湯が提供されます。そのまま飲んで良いのか、残さず飲むべきか、飲み方に戸惑った経験はありませんか。そこで今回は、そば湯を飲むメリットや楽しみ方について、栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。

 ◇ ◇ ◇

そば湯を飲む風習は江戸時代中期から

 そば湯は、そばのゆで汁で、そば店で食後に提供される白っぽい湯です。地域によってはなじみがないかもしれませんが、一般的にやや大きな角型の急須のような湯桶に入って出てくるので、飲む分を手元のそば猪口(ちょこ)に入れて飲みます。大量に飲むものではないので、湯桶に入ったそば湯を飲み切らなくても、マナー違反にはなりません。

 なぜ、そばをゆでた残り湯を飲むようになったのか。その起源は定かではありませんが、江戸時代中期には広まっていたとみられています。江戸時代の本に「そばを食べすぎても、そば湯を飲めば食あたりにならない」との記述があり、当時は大量にそばを食べるとお腹を壊すといわれていたようです。

 ざるそばや盛りそばは冷たい状態で食べるため、最後に温かいものを飲んで冷えた胃腸を整えようとする、昔ながらの知恵だったのかもしれません。

そばをゆでたあとの汁に栄養がある?

 現代の栄養学の観点からも、そば湯を飲むことは、単に冷えた体を温めるだけではなく、理に適っているといえます。そばに含まれる水溶性の栄養成分が、ゆでる際に溶け出していると考えられるのが理由です。

 たとえば、エネルギー代謝を促し疲労回復に役立つビタミンB1、造血のビタミンと呼ばれる葉酸、体内の水分バランスに欠かせないカリウム。ほかに、便通を整えたり、血糖値の上昇をゆるやかにしたりする水溶性食物繊維などです。とくに専門店のそばは、打ち粉にもそば粉が使われることが多いため、栄養成分もより多くそば湯に含まれているといえるでしょう。

 そば湯を飲むことには、そばの栄養を余すことなく得られるメリットがあります。

つゆで割っても、薬味を入れても

 そば湯の飲み方に、決まりはとくにありません。お店で食べ終わったあとに1杯ほど飲むものと心得ておけば、失礼に思われることもないでしょう。必ず飲まなければいけないものではないので、苦手な人は手をつけず、そのままで問題ありません。

 飲むときは、残ったつゆと割って飲むのが一般的です。もちろん、そのまま飲んでもかまいません。そばのほのかな風味を感じることができるでしょう。七味や山椒、残した薬味などを加えて飲むと、また違った味わいを楽しめます。

 決まった飲み方はないので、お好みで楽しみましょう。お店の人においしい飲み方を聞いても良いですね。

 大晦日に、年越しそばを食べに行く人もいるかもしれません。食事の締めくくりに、そば湯の優しい味わいも楽しんでみてはいかがでしょうか。

(Hint-Pot編集部)