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そばを途中で噛み切るのは縁起が悪い? 年越しそばの前に知っておきたい「ざるそば」の作法

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

年越しそばに、ざるそばを食べることも(写真はイメージ)【写真:写真AC】
年越しそばに、ざるそばを食べることも(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 大晦日といえば、年越しそば。地域によってさまざまなそばがありますが、そば専門店でシンプルにざるそばを食べながら、今年を振り返る人もいるでしょう。ざるそばには、薬味としてワサビが添えられるのが一般的ですが、つけ方に決まりはあるのでしょうか。そばにまつわる作法について、栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。

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そばの味わいをダイレクトに楽しむざるそば

 そばをザルやせいろなどに盛りつけて、海苔をのせて提供されるざるそば。そばの味わいをダイレクトに楽しめる一品です。それだけに、薬味やつゆのつけ方などがたびたび議論になりますが、基本的には自分の好みの方法で楽しむことが一番です。

 しかし、マナーという観点からいえば、周囲の人や作り手への配慮を基準に考えていくと良いでしょう。そばを食べる際の作法として、よく見聞きする3つを紹介していきます。

その1 薬味のワサビをつゆに溶かすのはNG?

 ざるそばを食べる際、ワサビや刻みネギなどの薬味が添えられることが一般的です。つゆにワサビを溶かしたり、ネギを入れたりするのをNGとするのは、そばつゆの風味を楽しまない点にあるのでしょう。専門店では、そばつゆにも作り手の思いやこだわりが込められています。その思いを尊重するために、ワサビやネギなどの薬味は都度、適量をそばにのせて食べたほうが良いというのが理由と考えられます。

 もちろん、そばつゆにワサビを溶かしたり、薬味を入れたりするのはマナー違反ではありません。昔は、そばつゆに使ったカツオ節の独特の生臭さを消すために、ワサビを溶かして食べていたという説もあります。繊細な旨味を作れるようになった現代は、作り手に配慮するという点で、最初のひとくちはワサビを溶かさずに、そばつゆ本来の味を堪能するのが粋な食べ方といえるでしょう。

その2 そば全体をつゆにつけるのはNG?

 そば全体をつゆにつけず、「先端1/3くらいを、そばつゆにつけるのが通の食べ方」といわれることがありますが、好みの問題といえます。そばの風味を味わうのがマナーといった観点でいうと、もちろん、そばつゆにはあまりつけないほうが良いでしょう。

 一方で、そばつゆを味わうのも作り手への配慮です。そばをつゆにしっかりとつけて調和を堪能するのも、またひとつの楽しみ方といえます。

 お店によっては、ひとくち目ではつゆをつけずに食べることを推奨しているところもあります。迷ったときは、その店が大切にしている食べ方を聞いてみるのも良いでしょう。