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そば打ち職人が教える失敗しないそばのゆで方 乾麺はひと手間でおいしさアップ
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風味豊かな新そばをぜひ自宅で味わいたいけれど、ゆで方がいまいちわからない……ということはありませんか。生そばも乾麺も、ポイントを押さえればおいしくゆでることができるのです。鎌倉・横浜で人気を誇る十割そばの名店「千花庵」の店主でそば打ち職人の鈴木智也さんに、そばのおいしいゆで方・食べ方を教えていただきました。
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十割生麺、二八生麺、乾麺で変わるそばのゆで方
――自宅でそばをゆでるコツなどありますか?
ゆで方は十割の生麺、二八(つなぎ入り)の生麺、乾麺と、大きく3つに分けられます。
まず初めに、豆知識としてそばと小麦の特性を頭の片隅に入れておきましょう。そばと小麦では特徴が異なり、そばは酸化・劣化が早いのに対し、小麦粉は酸化・劣化しにくい。熱に関してもそばと小麦は対極にあり、そばは熱に弱く、小麦は強いという性質が。これは、そばには含まれず、小麦には多いグルテンが熱で変化して固まることに由来しています。
つなぎが入っていない十割の生麺の場合、熱湯でゆでている間はまだ麺としてのつながりが弱く、ザルにあげて冷水で締めたとき、ようやく麺としてつながるというわけです。なので、ゆでるときは大きめの鍋にたっぷりのお湯(1人前につき1リットルが理想)を用意し、沸騰したところでパラパラとほぐしながら麺を入れます。ゆでている間はなるべく箸でかき混ぜないことがポイント。麺が切れる原因になるので、箸を使うときは優しく動かす程度にしましょう。ゆで時間は1分ほど。麺の太さにより前後します。ゆであがった麺をザルにあげ、素早く冷水につけてぬめりを取りましょう。水道の蛇口から直接水をかけてもかまいません。最後に氷水で締めたらしっかり水を切り、盛りつけてできあがり。
二八などつなぎの入った生麺の場合、熱に対する性質が相反するそばと小麦を一緒にゆでるので、そばの時間に合わせると小麦が生、小麦に合わせるとそばの味が薄れるというジレンマが生まれます。小麦にある程度、火が通ったところでザルにあげることになりますが、このタイミングを見つけるのは難しいので、まずはパッケージに書かれている時間でゆでてみましょう。ゆであがってからの手順は十割と同じです。熱に強い二八はゆでている間に箸でかき混ぜても大丈夫。氷水で締めたあとに麺を食べて固さを確かめ、次にゆでるときに時間の長さを調整するといいでしょう。
十割でも二八でも、乾麺のゆで方は一緒。ポイントは、火の通りを良くするため、ゆでる直前に乾麺を3~5分ほど水に浸すことです。アルデンテのようにコシを残したいなら3分、やわらかめであれば5分、水に浸した乾麺をザルにあげ、沸騰したお湯の中に入れましょう。パッケージに書かれている時間より早めにゆであがるので注意してください。