カルチャー
「不思議に感じました」 アメリカ人が驚いた年越し文化の違い 母国でも試してみたくなった日本の習慣とは
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年末の商店街やデパートで流れてくる、聞き慣れたあのメロディ。「そろそろ帰らなきゃ」と、日本ではすっかり“閉店の合図”として定着していますが、実はこの曲、アメリカでは大晦日のクライマックスに歌われる“新年を祝う歌”だというのです。思わず「そんな違いが?」と声を上げたくなる、日米の年越し文化のギャップ。「外国人が驚いた日本『世界一正直な国』」の動画で1000万回以上の再生を記録したアメリカ人YouTuber・ジェイソンさんに、年越しについて話を伺いました。
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新年の抱負を発表し合うアメリカの年越し
これまで8回も日本を訪れたことがあるジェイソンさんですが、実は、日本で年越しを経験したことがありません。それでも、日本人にとって大晦日や正月は、クリスマスよりもずっと大事な日であることを理解しているといいます。
ジェイソンさんによると、アメリカでの大晦日は家族や友人とパーティーを開き、にぎやかに過ごすのが定番だそうです。
「大晦日は、友人や家族と集まってニューイヤーズ・イブ・パーティーをします。ゲームをしたり、花火をしたり、信じられないほどたくさんのスナックを食べます。また、マルティネリ(100%ピュアアップルジュース)というノンアルコール飲料をたくさん飲むのも定番です」
さらに、このときの食事の席では「ニューイヤーズ・レゾリューション(新年の目標)」を発表し合うといいます。日本でも新年の抱負を語ることはありますが、アメリカではより明確に「目標」として設定し、家族や友人と共有する文化が根付いているようです。
「これは、新しい年に達成したい目標のことで、たとえば『体重を減らす』『もっと自然を楽しむ』などです。食事をしながら、家族や友人と目標を共有するのも楽しい時間です。ちなみに、私の2025年の目標は『YouTube動画をもっとたくさん投稿すること』でした」
日本の正月をいつか体験してみたい
そして、アメリカの大晦日に欠かせない歌があるといいます。
「カウントダウンを終え、年が明けた瞬間、『オールド・ラング・サイン』というスコットランドの古い歌を歌うのも一般的です。この曲が、日本では閉店時によく流れていると聞いて、少し不思議に感じました」
日本では「蛍の光」として親しまれているこの曲。閉店時の定番BGMや卒業ソングとして定着していますが、アメリカやイギリスなどの英語圏では、新年を祝う歌として歌われています。新しい年への希望を込めて歌うこの曲が、日本では「もう帰る時間ですよ」という合図になっているのは、たしかに不思議な文化の変容といえるでしょう。
「新年を迎えると、多くのカップルはキスをします。私は妻のリネルにキスをし、子どもたちは木のスプーンで鍋やフライパンを叩いて、にぎやかにお祝いします」
除夜の鐘を聞き、静かに108の煩悩を払う日本とは対照的です。日本では、長寿を願って大晦日に年越しそばを食べることを伝えると、ジェイソンさんはとても興味深そうに反応しました。
「知りませんでした! とても楽しそうな習慣ですね。縁起が良さそうで、いつかぜひ体験してみたいです。アメリカでもそばを探して、試してみたいですね」
ちなみに、ジェイソンさん一家には、大晦日に必ず食べる特定の料理はないそうです。その一方で、日本のNHK紅白歌合戦のように、アメリカにも年越しに観る定番のテレビ番組があるのだとか。
「ニューヨークのタイムズスクエアで行われる『ボールドロップ』を、テレビで見るのが伝統です。真夜中にボールが落ちて新年を迎え、大勢の人が集まります。実際に現地で見ることはないと思いますが、テレビで見るだけでも楽しいですよ」
日本の厳かな雰囲気とは異なり、華やかなムードに包まれるアメリカの年越し。いつか、除夜の鐘を聞きながら年越しそばをすすり、初詣に出かける――そんな日本の正月を体験する日を、ジェイソンさんは心待ちにしているそうです。
(Hint-Pot編集部)
