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「不可抗力ではないのか」 タクシー車内での嘔吐トラブルに弁護士が見解

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:坂本 尚志

酒席が増える年末年始。タクシー利用時はマナーを守って(写真はイメージ)【写真:PIXTA】
酒席が増える年末年始。タクシー利用時はマナーを守って(写真はイメージ)【写真:PIXTA】

 年末年始は、久しぶりに会う友人や知人との飲み会が増える時期です。つい気がゆるみ、いつもより飲みすぎてしまう人も少なくありません。タクシーで帰宅する途中、車内で嘔吐してしまった――。「わざとではない」「体調が急に悪くなっただけ」、そう思っていても、思わぬ請求を受けることがあります。年末年始に起こりやすいトラブルについて、弁護士の坂本尚志先生に聞きました。

 ◇ ◇ ◇

高額なクリーニング代は正当なの?

 年始、帰省に合わせて久しぶりに地元の友人たちと集まり、飲みに行きました。仕事や家庭の話で盛り上がり、気がつくと、普段よりかなり飲みすぎてしまったんです。終電もなかったので、タクシーで帰ることにしました。

 そのときはまだ大丈夫だと思っていたのですが、走り出してしばらくしたところで、急に気分が悪くなりました。

「すみません、ちょっと止めてもらえますか」

 そう伝える間もなく、車内で吐いてしまいました。とっさにカバンの中に吐いたものの間に合わず、少しシートや床を汚してしまい、運転手さんはすぐに車を止めました。

「今日はもう営業できません」

 そう言われ、クリーニング代と合わせて、思っていたより高額な金額を請求されました。

 酔ってはいましたが、わざとではありません。体調が急に悪くなっただけで、「不可抗力ではないのか」とも思いました。それに、汚れたのもほんの一部です。

 その場では言われるがまま支払いましたが、あとから冷静になると、「本当に全額支払う必要があったのだろうか」という疑問が残りました。

 もし支払いを拒否していたら、どうなっていたのでしょうか。タクシー代とは別に、クリーニング代まで負担しなければならないのでしょうか。

「わざとでなくても」責任が生じる可能性がある

 こうしたケースについて、弁護士の坂本氏は次のように説明します。

「タクシーに乗車することは、運送契約を結ぶことになります。乗客の行為によって車内を汚し、営業に支障が出た場合、その損害を賠償する責任が生じる可能性があります」

 ポイントになるのは、故意かどうかではないといいます。

「『わざとではない』『体調が悪くなっただけ』という事情があっても、故意過失により車内を汚した結果、クリーニングや営業ができなくなった場合は、原則として損害賠償の対象になり得ます」

 クリーニング代だけでなく、場合によっては営業できなかった時間分の損害を請求されることもあるそうです。

 坂本氏によると、「酔っていたから」「覚えていないから」といった理由は、法的に免責の根拠にはなりにくいといいます。

 お酒の席が増える年末年始は、普段なら起きないトラブルが発生しやすい時期でもあります。帰宅手段を選ぶときも、少し余裕を持って行動することが大切かもしれません。

※本記事に記載された事例は、特定の事実関係に基づくものではなく、想定ケースとして構成されたものです。実在の相談・事件・人物等とは一切関係ありません。

(Hint-Pot編集部)

坂本 尚志(さかもと・たかし)

弁護士。清陵法律事務所所長。プロボクサー。東京大学法学部卒業。詐欺・消費者問題に注力。https://seiryo-law.com/