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中国団体客が消えた旅行会社の悲鳴 「昨年は忙しかったですが、今は暇です」 代表が明かす厳しい現実
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「まさかこんなことになるとは」――福岡県福岡市で、中国からの団体旅行客を主に扱ってきた旅行会社に激震が走ったのは、昨年11月15日のことでした。中国政府が日本への渡航自粛を呼びかけて以降、中国人の団体旅行客が激減。本来なら、旧正月を前に最も忙しくなるはずの時期でしたが、深刻な状況に陥っているといいます。株式会社日中友好旅行社の代表・高尾淑江さんに、現状について伺いました。
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突然の連絡「翌日の出発便がキャンセルに」
2000年に設立された日中友好旅行社。中国だけでなく東南アジア諸国への旅行をアテンドする一方で、近年は中国からの団体旅行客を取り扱うケースが業務の中心になっています。福岡、長崎などの人気スポットをはじめ、九州7県を中心とした旅行を主に手がけてきました。
そんな会社に衝撃が走ったのは、昨年11月15日のことでした。
「突然、翌日16日の日本への出発便がキャンセルになったという連絡が入ってきたんです。もちろん、すごくびっくりしました。まさかこんなことになるとは思っていませんでした」
中国政府による渡航自粛の呼びかけが出された直後のこと。高尾さんたちは急遽、宿泊ホテルのキャンセル対応に追われました。しかし、それは始まりに過ぎません。その日を境に、中国からの団体旅行客から入っていた12月、1月の予約はすべてキャンセル。以後、新規の予約は一件も入っていないといいます。
「ある程度の期間で、客は戻ると思っていました。それがこんなに長くなるとは……。しかも先が見えないですね」
旧正月前の繁忙期が一転、閑散期に
現在の状況について、高尾さんは「まったく良くはなっていません」と厳しい表情を見せます。中国の団体客からの注文は完全にゼロ。中国から個人で訪日する観光客がいるとはいえ、そうした人たちは自分たちでホテルや交通手段を手配するので、旅行会社を利用することが少ないそうです。
本来なら今の時期は、旧正月を前にして最も忙しい時期のはず。昨年の同時期は毎日のように予約が入っていたといいます。
「昨年は忙しかったですね。それが今は暇です」
主に中国の観光客を扱ってきた同社ですが、少数ながら台湾や香港からの客も扱っています。しかし、それだけでは事業を支えるのに到底及びません。
「やはり中国からの団体客がないというのは、うちにとっては大打撃です」
この状況について、改めて心境を尋ねると、高尾さんは静かにこう答えました。
「民間人の立場からすると、中国と日本が仲良くなってほしい。なるべく早く関係が回復することを祈るだけです」
観光業を通じて日中の友好関係を築いてきた旅行会社の、切実な願いが込められています。
(Hint-Pot編集部)
