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「行儀の良い行為ではない」 皿に残った“ソース問題” 日本では「普通」でも、イギリスでは「マナー違反」となることとは

公開日:  /  更新日:

著者:斎藤 理子

イギリス流・ソースを食べ切るためのスマートな作法

 イギリスでも、階級によってはパンでソースを拭って食べます。最近はアッパーミドルでもそうする人が多いようですが、イタリアとの決定的な違いは「直接手で皿を拭って食べない」ことに尽きます。

 どういうことかというと、パンをちぎってフォークに刺し、それでソースをさらいます。フォークはあくまでも左手。前回もお伝えしましたが、右手に持ち替えるのはNGです。そうやってソースを食べれば、高級店でもあまり浮かないで済みそうです。

 ちなみにイギリスの場合、料理と一緒に出されるパンは必ずちぎって食べます。そのままかじるのはNG。バターは、銘々に配られなければ自分のパンに見合った分だけをバター皿から取り、パン皿の上に置きます。料理の付け合わせ的なパンの場合、全面にバターを塗るのはNG行為。ひとくちで食べられるサイズにちぎって、その都度バターを塗って食べます。

マナーは怖くない 知れば自然と身につくもの

 なんだかいろいろと面倒くさそうですが、慣れてしまえば難しいことはありません。日本にも、刺し箸、迷い箸、涙箸、寄せ箸、箸渡し、くわえ箸、なぶり箸などなど、お箸に関するマナー違反が数え切れないほどあります。

 お箸に限らず、日本の食事のマナーはいろいろとかなり細かくて、厳格だと思います。でも、日本人なら教わりながら育つので、とくに意識せずとも自然にこなします。だから、臆せずに数をこなせば、厳しそうなイギリスのマナーも自然と身につくはず。

 イギリスでもフランスでも、三つ星クラスの高級レストランにおいて、パンでソースを拭うのはマナー違反という人も多々います。店が眉をひそめるとも。

 でも、経験から言えば、そんなことはまったくありません。むしろ、きれいに食べてくれてうれしいと喜ぶシェフが多いと思います。非常に格式が高いレストランだと、話はまた別ですが。

 食事のマナーは面倒くさいかもしれないですし、“謎マナー”があるのも事実ですが、基本的に最初にちょっと意識して身につけてしまえば、あとは慣れです。おいしい食事を緊張せず、楽しくスマートにいただきたいですね。

(斎藤 理子)

斎藤 理子(さいとう・りこ)

出版社で雑誌編集に携わったあと、イギリス・ロンドンなど海外に長年在住し、世界中をめぐって各地の食文化を体験。帰国後は日本国内外の食材生産者から、ミシュラン三つ星レストランや街角の立ち飲み店まで、幅広い食の現場を取材・執筆している。主な著作に「イギリスを食べつくす」(主婦の友社刊)、「隣人たちのブリティッシュスタイル」(NHK出版刊)がある。また、「アル・ケッチァーノ」の奥田政行シェフによる連載記事を編集・監修した「田舎のリストランテ頑張る」(マガジンハウス刊)の編著者でもある。2011年には、イギリス政府観光庁よりメディアアワードを受賞。現在、やまがた特命観光・つや姫大使を務める。