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「減っているのは中国人ではない」 スキーの聖地・湯沢町が直面する課題 外国人が増えても「来場者半減」の深刻なワケとは

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

多くのスキー場がある湯沢町【写真:PIXTA】
多くのスキー場がある湯沢町【写真:PIXTA】

 中国政府が日本への渡航自粛を呼びかけたことで、日本の観光業には大きな影響が出るのではないか――そんな懸念が全国的に広がりました。とくに、インバウンド需要の動向に左右されやすい観光地では、不安の声も少なくありませんでした。一方で、実際の影響は地域によって異なるようです。スキーリゾートとして知られる新潟県・南魚沼郡湯沢町では、渡航自粛はどのように受け止められ、観光の現場では何が起きているのでしょうか。同町の企画観光課にお話を伺いました。

 ◇ ◇ ◇

外国人観光客は回復 中国依存はもともと高くない

 湯沢町は、町内に複数のスキー場を抱える国内有数のスキーリゾートです。そこで中国政府による渡航自粛の影響を探るうえで、まず注目したいのがスキー場の来場者数です。

 町内スキー場全体の12月の来場者数は、2024年が約21万3400人だったのに対し、2025年は約22万3550人と増加しています。

 中国政府による渡航自粛について、担当者はこう話します。

「そもそも湯沢町では、中国人観光客の割合は15%ほどです。一番多いのは台湾からの方で、全体の60~65%を占めています。そのため、中国の方が減ったという印象はあまりなく、数字を見ても大きな影響は出ていないと見ています」

 全国的に注目された出来事ではありましたが、湯沢町に限っていえば、直接的な打撃は限定的だったようです。

町内スキー場全体では微増 ただ年末年始は減少

 12月単位では増加が見られた一方で、年末年始(12月29日~1月3日)に限ると、来場者数は減少しています。町内スキー場全体の来場者数は、2024~25年シーズンが約16万人だったのに対し、2025~26年シーズンは約14万人で、前年より2万人ほど減少しました。

 ただし、この減少についても、担当者は中国人観光客の動きと直接結びつけてはいません。背景には、国内観光の動きの変化があるといいます。

「全体的には、日本人のお客さまが減っているという印象です。外国から来られる方は増えていて、カバンひとつで来て、スキーだけを楽しんで帰られる方も見かけます。最近、宿泊施設の方と話すと『中国の方が減って、京都のホテルが空いている』という声を聞きます。これまで予約が取りづらかった京都に、日本人観光客が流れている可能性があります」

 この傾向を象徴するのが、湯沢町を代表する大型スキー場のひとつ、苗場スキー場です。知名度も高く、かつては多くの日本人観光客でにぎわってきました。ところが、今年の「来場者は例年の2分の1くらいだと思います」と、担当者は厳しい表情で語ります。

インバウンド回復の陰で残る課題

 これから春節の時期を迎えますが、苗場プリンスホテルで中国人団体客の大きなキャンセルが出たという話は、現時点では湯沢町の担当者のほうで確認されていないといいます。一方で、外国人観光客の多くは個人旅行で、東京を拠点に1~2日だけ湯沢町を訪れるケースが増えているそうです。

「短期滞在が多く、結果として地域内での消費につながりにくいのは、正直なところです。宿泊施設が減っていたり、宿泊費が高騰していたりして、受け入れのキャパシティが小さくなっているという事情もあります」

 中国人団体客の減少が注目を集めた今回の出来事。しかし、湯沢町の現場で浮かび上がったのは、それとは異なる課題でした。外国人観光客は回復する一方で、日本人観光客は戻らず、観光客の動きそのものが変化しています。

 全国的に語られた「影響」の裏側で、地方の観光地はどんなことに直面しているのか。湯沢町の現状は、その一端を静かに示しています。

(Hint-Pot編集部)