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「塩の入れすぎ」で体調不良に 塩分過多に潜むリスク 適切な量や正しい計量を栄養士に聞いた
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福岡県内の中学校で1月、家庭科の授業で調理したピザを食べた生徒6人が体調不良を訴え、病院に搬送されました。原因は「塩の入れすぎ」といわれています。私たちが生きていくうえで欠かせない塩ですが、とりすぎると体にどのような影響があるのでしょうか。適切な量や正しい計量も含め、栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。
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一度に過剰摂取すると体調不良につながることも
食塩から摂取したナトリウムは、体に吸収され、私たちが生きていくのに必要な働きをします。たとえば、細胞の浸透圧を維持し体内の水分量を調節したり、筋肉の収縮や神経の働きをサポートしたり。過剰に摂取した分は、主に腎臓で調整され、尿として体外に排出されます。
しかし一度に大量の塩分を摂取すると、腎臓での調整が追いつかなくなり、血液中のナトリウム濃度が急激に高まります。のどの強い渇きや吐き気、頭痛、めまいなどの症状が現れることもあるでしょう。通常の食事で起こることはまれですが、体液のバランスが崩れ、急性の「高ナトリウム血症」に至ることもあります。
塩分については、「1日の摂取量」がよく話題になりますが、「一度に過剰摂取すること」については、あまり意識する機会がないかもしれません。なじみのある調味料ですが、短時間でたくさんの量を摂取するのは、健康に影響を及ぼすリスクがあります。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年度版)」によると、目標とされる1日の食塩相当量は、健康な成人男性で7.5グラム、成人女性で6.5グラム未満です。目安として均等に3食で分けると、1食あたり男性は2.5グラム、女性は約2.1グラム未満。小さじ1杯が約6グラムなので、小さじの半分よりも少ない量です。
意識しないまま摂取量が増えてしまいがち
食塩は食事の調味料として使われるだけではなく、ウインナーやハムなどの加工品、麺やパンなどにも練り込まれています。麺や青菜を茹でるときなど、調理工程で使うこともあるでしょう。そのような塩分は、塩が直接舌にあたるわけではないので、塩味を感じにくいかもしれません。意識しないまま摂取量が増えてしまうことがあります。
また急性に限らず、日常的に塩分摂取量が多いと慢性的に血圧が上昇しやすくなります。高血圧の状態が続くと、血管に負担がかかり、動脈硬化の進行の原因に。その結果、心筋梗塞や脳卒中といった重い病気のリスクが高まるといえます。
ナトリウムを排出する腎臓にも負担がかかり、長期的には腎機能の低下につながる可能性も考えられます。塩分の慢性的なとりすぎは自覚症状が出にくいため、知らないうちに影響が積み重なっていく点が問題です。
調理で使う際は、計量して塩分管理を
ふだん、塩を「少しくらい多く使っても平気」と、計量せずに料理を作るのは、あまりおすすめできません。知らずに多く使ってしまい、塩分過多につながってしまうのが理由です。濃い味に慣れてしまうと、塩味を感じにくくなり、使う塩の量がさらに増えてしまうことがあります。計量することで、塩分管理につながるでしょう。
塩の場合、レシピの分量で「少々」や「ひとつまみ」の表現があり、迷うこともあるかもしれません。いずれも個人差はありますが、塩ひとつまみの量り方は親指、人差し指、中指の3本でつまんだ量で、分量の目安としては約小さじ1/6(約1g)に相当します。塩少々は、親指と人差し指の2本の指でつまんだ量で、約小さじ1/12(約0.5g)が目安です。
このほか、漬け物などのレシピに「塩ひとつかみ」といった記述を見かけることがありますが、手で軽く握る量です。約大さじ2(約36g)に相当します。
これらの表現は、計量スプーンやカップが普及される前に多く使われてきました。結果、つくり手により、仕上がる味はさまざまです。しかし計量スプーンなどを使ってレシピ通りに作れば、おおむね同じ味で完成すると言われています。とくに料理初心者であれば、計量は大切です。
塩は私たちの体をサポートする役割もしますが、とりすぎは体に負担をかけることもあります。量を意識しながら上手に取り入れることが、日々の健康管理につながるでしょう。
(Hint-Pot編集部、和漢 歩実)