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イチゴの「つぶつぶ」の正体 赤い部分は果実じゃない? 栄養士に聞いた
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教えてくれた人:和漢 歩実

愛らしい見た目と、そのまま食べられる手軽さで、幅広い年代から人気のイチゴ。路地栽培は、春先から旬を迎えます。食べている赤い部分の表面にあるつぶつぶは、種のイメージがありますが、実は違うようです。普段なにげなく食べていますが、意外に知らないイチゴの豆知識を栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。
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果実だと思って食べている部分も果実ではない
イチゴの表面にあるつぶつぶは、種ではありません。一つひとつが「痩果(そうか)」と呼ばれる果実です。イチゴは、1粒に200~300個の果実が集まった「集合果」。種は、つぶつぶの中に入っています。
果実だと思って食べている甘い部分は、花の中心の茎が太くなって膨らんだものです。「花托(かたく)」または「花床(かしょう)」と呼ばれ、果実を支える役割があります。本当の果実ではない部位が大きくなって、果実のように見えることから、植物学ではイチゴを「偽果(ぎか)」と呼ぶそうです。
ちなみに、園芸学でのイチゴは「野菜」に分類されます。理由は、「木の実」(木本性)は果物に、「草の実」(草本性)は野菜とされるためです。イチゴはバラ科の植物ですが、同じ科のサクランボやリンゴが木になるのとは異なり、草になるため、「草の実」として野菜の一種に入ります。農林水産省による分類などでは、「野菜(果実的野菜)」になります。
そもそもイチゴが日本に入ってきたのは江戸時代末期の1830年代。オランダ船によって持ち込まれたとみられています。その後、明治になって農業が近代化され、1900年頃には外国品種を使った栽培が始まったそうです。それから栽培技術の向上や品種改良を経て、現在のように多彩な品種が楽しめるようになりましたが、イチゴの構造や分類については、ふだんはあまり意識しないかもしれません。
イチゴはビタミンCがミカンより豊富
イチゴの栄養といえば、なんといっても豊富なビタミンCが挙げられます。日本食品標準成分表(八訂)増補2023年によると、イチゴ100グラムあたりに含まれるビタミンCは、62ミリグラム。ほかの果物と同量で比較すると、ミカンは32ミリグラム、リンゴは4ミリグラムなので、豊富なことがわかります。
ビタミンCは免疫機能を高めるほか、美肌をサポートするコラーゲンの生成に欠かせない成分です。厚生労働省が推奨する成人1日分のビタミンC摂取量は100ミリグラムなので、イチゴを食生活に取り入れることで、ビタミンCを効率よく摂取するのに役立ちます。
また、造血作用や貧血予防で注目される葉酸、眼精疲労の予防で知られるアントシアニンも含まれています。食物繊維の一種ペクチンもあり、血糖値やコレステロール値の正常化、腸内環境を整えることが期待される成分です。
春先から旬を迎えるイチゴ。「つぶつぶが果実」と認識しつつ、おいしく味わってみてはいかがでしょうか。
(Hint-Pot編集部)
和漢 歩実(わかん・ゆみ)
栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾