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中国人6割減のなか…世界自然遺産・知床は「半減ではない」 観光協会事務局長が語る現場の実感

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著者:Hint-Pot編集部

流氷が押し寄せる冬の知床【写真:PIXTA】
流氷が押し寄せる冬の知床【写真:PIXTA】

 中国政府による日本への渡航自粛を呼びかけにより、様相が変わりつつある日本の観光地。日本政府観光局の最新データで、中国人観光客が昨年同月比で大幅に減少したという数字が示されているなか、世界自然遺産・知床にある観光地、斜里町(しゃりちょう)ではどんな状況になっているのでしょうか。斜里町観光協会の事務局長・新村武志さんに、現状を詳しく伺いました。

 ◇ ◇ ◇

「半減したというほどの実感はありません」

 北海道の東端、知床半島に位置する斜里町。2005年に世界自然遺産に登録された知床は、冬には流氷が接岸し、ヒグマやシマフクロウなど希少な野生動物が生息する、日本でも数少ない原始の自然が残る地域です。流氷ウォークやクルーズ、夏の知床五湖トレッキングなど、四季折々の大自然を体験できる観光地として、国内外から多くの旅行者が訪れています。

 近年はインバウンド観光客も増加しており、知床観光の拠点となる斜里町ウトロ地区を中心に、外国人観光客の姿が目立つようになっていました。新村さんによると、町全体の観光客に占める外国人の比率は、この2年で大きく伸びているそうです。

「一昨年までは年間でおよそ12%でした。それが昨年は18%ほど。今年度は最終集計前ですが、20%に届くかどうかというところです」

 では、中国政府による渡航自粛の呼びかけの影響はどうなのでしょうか。

「もともと団体客はありましたが、いまは個人旅行にシフトしています。中国の旅行会社などには影響があるのかもしれませんが、知床では“半減した”というほどの実感はありません」

 今年の春節については、「昨年ほどの爆発的な勢いは感じませんでした」と振り返ります。昨年はアクティビティの予約が取りづらかったそうですが、今年はやや落ち着いた印象だったとのこと。それでも「一定数の来訪はあり、個人客が中心です」と説明します。

欧米圏からの観光客が「圧倒的に増えています」

 外国人比率が伸びている背景には、欧米からの旅行者の増加があるといいます。「もともと欧米の割合は高くありませんでしたが、そこが圧倒的に増えています」と新村さん。また、「以前は流氷シーズンの2月に集中していましたが、近年は夏のグリーンシーズンも増えています」とのことで、来訪時期も分散しているようです。

 観光客の増加に伴い、受け入れ面での課題も浮かび上がっています。ウトロ地区では、バス停から高台にあるホテルまで徒歩で移動する観光客が多く、安全面を懸念する声が上がっているそうです。現在は補助金を活用し、ワゴン車で送迎する実証的な取り組みを進めています。

 中国の渡航自粛による影響は、来訪者の構成や動きの変化として表れていました。世界自然遺産の地では、増加と調整のはざまで、観光の流れが少しずつ変わりつつあります。

(Hint-Pot編集部)