からだ・美容
「『治療』『治る』をうたう商品には注意」 リカバリーウェアの誤解を医師が警鐘 体調悪化を招く意外な落とし穴とは
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教えてくれた人:前田 俊恒

疲労回復をサポートするとして注目を集めているリカバリーウェア。手軽に取り入れられるアイテムとして人気が高まる一方で、期待できる効果やその限界を十分に理解しないまま使用すると、人によっては体調に影響を及ぼす可能性も指摘されています。そこで、リカバリーウェアの正しい知識や使用時の注意点について、整形外科専門の前田俊恒医師に詳しく伺いました。
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血流促進と筋肉の緊張緩和を目的に設計
リカバリーウェアの多くは、「血流の促進・筋肉の緊張緩和・体温の安定」を目的に設計されています。適度な着圧による静脈還流のサポート、遠赤外線素材などによる保温効果、寝返りや姿勢保持を助ける設計などがあり、これにより疲労感が軽減され、筋肉の回復環境が整うと考えられています。
リカバリーウェアに期待できる効果は、翌日の筋肉のこわばり軽減、むくみの軽減、睡眠中の体温安定による休息の質向上、軽度の疲労回復サポートなどです。
一方で、期待しすぎてはいけない点もあります。ケガや炎症が治るわけではなく、慢性的な痛みの根本治療にもなりません。運動不足や生活習慣を補えるものでもないのです。あくまで「回復を助ける環境づくりの補助ツール」であり、魔法のアイテムではありません。
血流障害(動脈硬化、重度のむくみ、静脈疾患)がある、皮膚が弱くかぶれやすい、心疾患・腎疾患がある、妊娠中という人は、とくに慎重に選ぶ必要があります。それは、過度な圧迫や体温上昇が体調悪化を招く可能性があるためです。不安がある場合は、医師に相談すると良いでしょう。
選ぶ際は着圧の強さとサイズ確認を
長時間の着用や就寝中の着用では、締め付け感が強すぎないものを選び、皮膚トラブルがないか毎日チェックしましょう。暑さやムレを感じたら、無理に着ないことが大切です。
とくに就寝中は、血流を妨げない、自然な寝返りを妨げない設計であることが重要です。「心地よい」が基準で、我慢して着るものではありません。
リカバリーウェアを選ぶ際は、着圧の強さ(医療用レベルでなく日常向けか)、通気性・吸湿性、サイズが自分の体に合っているか、目的が「疲労回復補助」であることを理解しているかが重要です。
また、エビデンスやメーカー説明が過剰でないかもしっかり確認しましょう。「治療」「治る」といった表現をうたう商品には注意が必要です。
リカバリーウェアは「着るだけで治る」ものではありませんが、疲労回復を助ける一つのサポート手段としては有用です。正しい理解と使い方をすれば、日々のコンディション維持に役立つでしょう。
(Hint-Pot編集部)

前田 俊恒(まえだ・としひさ)
まえだ整形外科リウマチクリニック院長。医学博士/整形外科専門医/リウマチ専門医/リハビリテーション科専門医。肩こり・腰痛・関節痛などの慢性疼痛から、関節リウマチ、骨粗鬆症、スポーツ障害まで幅広く診療。日常生活に根ざした運動指導・セルフケアの啓発にも力を入れている。肩や膝、腰の痛みなど日常の体の不調やリカバリーウェアの効用についても、医学的根拠に基づいたわかりやすい解説を行っている。
