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「エアコンが苦手な人は、防寒してでも使用してください」 家の中でも熱中症に注意 医師が警鐘
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教えてくれた人:谷口 英喜

7月になり、熱中症警戒アラートが発表される日も増えてきました。発表時は、不要不急の外出を避けることが推奨されており、「外出キャンセル」が熱中症対策になります。一方で、屋内にいても熱中症になるケースが少なくありません。気温が上がり始めるこの時期、私たちはどのように身を守れば良いのでしょうか。著書に「熱中症からいのちを守る」(評言社刊)がある、谷口英喜医師に詳しい話を伺いました。
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見落とされがち? 室内での熱中症リスク
熱中症は屋外での発症が多いと思われがちですが、東京消防庁が発表した、2024年6月~9月の熱中症による救急要請時の発生場所を見ると、「住宅等居住場所」が2885人で全体の36.1%を占めています。さらに、65歳以上の高齢者は2124人で、約半数に上ります。
谷口英喜医師によると、屋内での熱中症は近年、増加傾向にあるそうです。
「理由は、地球温暖化と人口構成の超高齢化です。高齢者は、屋外よりも屋内で過ごす時間が多く、日常生活を過ごしているなかで熱中症になります。また、ヒートアイランド現象などが原因で、大都市を中心に熱帯夜が増えています。ところが、エアコンをうまく使用しておらず、夜間熱中症を発症する人も増加しているのです」
快適な室内環境をつくるには
では、室内ではどのような環境を整えれば良いのでしょうか。谷口医師によれば、「室温28度以下、湿度60%以下」が最低ライン。ベストな環境は「暑くて夜中に目が覚めない温度」だといいます。
「エアコンが苦手な人は、防寒してでも使用してください。長袖長ズボンやかけ布団などで冷気を遮れば、冷房のメリットを生かしつつ、体を冷やしすぎずに済みます」
その理由は、エアコンの冷たい空気を吸うだけでも熱中症予防効果が高いため。暑い夜は、寝る30分前から部屋を冷やしておいて、エアコンはタイマーを使わず、朝までつけっぱなしにしましょう。扇風機やサーキュレーターとの併用で空気の循環を促せば、冷却効果がさらに高まります。
また、湿度が高いことを見逃しがちなので注意を。暑さ指数は、室温・湿度・日光の赤外線の3つで決まります。その比重は1:7:2で、湿度は暑さ指数に大きく影響する要素です。そのため、気温だけ下げるのではなく、換気や除湿機で湿度を下げることが重要に。料理で使用する火や、鍋から出る水蒸気などもリスクになるので、今のうちからキッチンの環境も見直すと良いですね。
初期症状を見逃さないよう注意
しかし、対策をしていても、体調の変化などで熱中症になってしまう場合があります。熱中症が軽度の場合、体を冷やすなど適切な応急処置で、ほとんどの場合は回復します。ただし、初期段階は見過ごしがちな症状が多くあるので、注意しましょう。
「最近は、暑さによる体調不良が『熱あたり』とも呼ばれますが、食欲低下・倦怠感(疲れ)で発症することが多いです。頭痛・吐き気・こむら返りなどが出ることもあります」
重症化すると、意識障害や全身の痙攣、最悪の場合は死に至る危険性もあります。とくに、体温調節機能が未熟な乳幼児や、暑さに鈍感になりがちな高齢者は、少しでも異変を感じたら、すぐに対処することが大切です。
(Hint-Pot編集部)