Hint-Pot | ヒントポット ―くらしがきらめく ヒントのギフト―

仕事・人生

「これって、ふたりの問題だよね」 安田美沙子さんが夫と向き合った不妊治療 意識を変えた「メールでの本音」と今

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

インタビュアー:井上 千椿

夫婦でいっぱいけんかもしたけれど…とことん話し合って進む

――不妊治療では、一般的に女性のほうが通院回数をはじめ、心身の負担が大きいといわれます。安田さん自身も、ご夫婦で温度差を感じることはあったのでしょうか。

「ありましたね。不妊治療を始めた頃は気持ちに余裕がなかったこともあり、正直、いっぱいけんかをしました。私が朝早くクリニックに行くのに、寝ていることもあって『送ってくれても良いじゃん』とか。もう、たくさんぶつかりました」

――その温度差をどう乗り越えていったのでしょうか。

「話すと言葉に感情が乗ってしまうことがあるので、冷静になれるようメールでやりとりすることもありました。あるとき『これって私だけじゃなく、ふたりの問題だよね』と伝えたら、夫がはっとした感じになって、自分も当事者なんだと気づいたようでした。そこから変わりましたね。治療の送り迎えをしてくれたり、一緒に病院に来てくれたり。とことん話し合って、結果的に良かったなと思っています」

――お仕事をしながら不妊治療を続けていくうえで、大変なことはありましたか。

「通院の回数も多いので大変でしたね。仕事があっても、どうしてもクリニックに行かなければならないタイミングもあるので、スケジュール調整が難しかったです。採卵後に仕事をしても良いといっても、やっぱり体はきつかったです。仕事の現場で顔が真っ青だったこともありました。撮影があっても、ホルモン剤の影響でむくんでいたこともあったり……。そのあたりの葛藤やつらさはありました。メイクさんをはじめ、周囲のスタッフが体調を気遣ってくれてサポートしてくれたのはありがたかったです。救われました」

不妊治療を経て今、思うこと

――その不妊治療の経験が今、安田さん自身や家族のあり方につながっていると感じることはありますか。

「あのとき、夫婦でとことん話し合って、子どもたちが生まれて。夫は、子どもたちのことを本当に大事にしてくれています。子どもを連れて遊びに行ったり、学校行事も参加したりしますね。私が仕事に行くときも『行っておいで』と快く送り出してくれます。あの経験があって、夫婦で子どもを育てるという意識がより強くなったのかなと」

――お子さんたちは今、8歳と6歳に。不妊治療をしていた頃を思い出すことはありますか。

「ふとした瞬間に、治療をしていた頃の自分を思い出すことがあります。結果を聞きに行くときは本当に怖くて、期待しすぎないように、心を“無”にした状態でクリニックへ行ったこともありました。今、子どもたちを見ていると『あのとき来てくれてありがとう』って思うんです。子育てで大変なこともありますけど、あの時間があったからこそ、今の毎日があるんだなと感じますね」

――男の子2人、にぎやかな毎日ですよね。成長する姿を見ていて思うこと、今、幸せを感じる瞬間はありますか。

「次男は、この春から小学生になります。あっという間ですよね。長男は、最近は話を聞いてくれないこともあります。そろそろ反抗期なんですかね。だいぶ大きくなったなあって思います。そんな長男が朝ごはんを食べている姿を見るのが、好きです。朝起きて、一生懸命ごはんを食べている、素直ですごく自然な姿を見ていると幸せを感じます」

 不妊治療という選択の連続を経て、たどり着いた今。あのときの決断一つひとつが、安田さんの現在の幸せにつながっています。

◇安田 美沙子(やすだ・みさこ)
1982年4月21日、京都府出身。20歳のとき「ミスヤングマガジン」に選ばれ、芸能活動を本格化。29歳でNHK連続テレビ小説「カーネーション」に俳優として出演を果たす。ランニングにも本格的に取り組み、「名古屋ウィメンズマラソン2012」では「サブ4(4時間切り)」の3時間44分56秒の自己ベストを記録。2014年3月、結婚。2017年5月に長男、2020年2月に次男を出産。2児の母としても忙しい毎日を送る。2020年より伝統工芸とコラボレーションしたキッチン用品を手掛けるブランド「FOUR O FIVE(405)」を展開。起業家としてのキャリアも築いている。

(Hint-Pot編集部)

(インタビュアー:井上 千椿)

井上 千椿(いのうえ・ちはる)

国家資格キャリアコンサルタント。言葉とキャリアの専門家として、女性のキャリアデザインの支援や強み迷子に寄り添う。新聞記者・ウェブニュースメディア編集長を経て独立。スポーツ界、芸能界など幅広い分野で人物インタビューを行ってきた経験を生かし、魅力を引き出し、言語化する活動に取り組む。著書に「つながりゼロでもマスコミに選ばれる プレスリリース(取材案内書)の書き方・送り方」(同友館刊)。