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漫画

震災から15年、被災地でボランティアが聞いた「忘れられない言葉」 がれき撤去作業の終わりに突きつけられた“真実”を描いた漫画に反響

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

漫画のワンシーン。東日本大震災発生後、ボランティアへ向かったをぎくぼ虫さん【画像提供:をぎくぼ虫(@wogikubomushi)さん】
漫画のワンシーン。東日本大震災発生後、ボランティアへ向かったをぎくぼ虫さん【画像提供:をぎくぼ虫(@wogikubomushi)さん】

 東日本大震災から15年。節目の日である3月11日、X(ツイッター)で4.4万件もの“いいね”を集め、多くの涙を誘った漫画があります。作者は、毎週末にエッセイ漫画を投稿しているをぎくぼ虫(@wogikubomushi)さん。ボランティア活動中にかけられたあるひと言が、15年経った今も多くの人の人生観を揺さぶりました。

 ◇ ◇ ◇

「ただのがれき」に見えていたものの正体

 をぎくぼ虫さんは当時、被災地でのがれき撤去ボランティアに参加していました。話題になった漫画は、その過酷な作業の合間の、なにげないひとコマから始まります。

 一日の作業を終え、ほかのグループの帰還を待っていたボランティア仲間たち。張り詰めた空気がゆるみ、雑談に花を咲かせるなかで、近くにあったコンクリート片にふと腰を下ろした人がいました。

 そのときです。ひとりのメンバーが静かに、しかし毅然とした態度で口を開きました。

「あの……ちょっといいですか?」

 その人物が放った言葉は、その場にいた全員が背筋を伸ばす、あまりにも重みのあるものでした。

「立ちましょう。そこ、人の家なので」

 この言葉を聞いた瞬間、をぎくぼ虫さんは思わずハッとします。他人から見れば、ただの「撤去すべきがれき」にすぎないコンクリートの塊。しかし、それは数日前まで、誰かの大切な生活があり、家族の笑い声が響いていた「家の一部」だったのです。

 漫画の最後は、「そのことを胸に刻み込みました」という、深い自省と決意の言葉で締めくくられています。

「東日本大震災のボランティアに参加したときに聞いた忘れられない言葉」と題したこの漫画には、Xで4.4万件もの“いいね”が集まりました。リプライ(返信)には「ボランティアで出合う言葉は、本当に人生観を変える瞬間がある」「そういう言葉って、時間が経ってもずっと心に残るよね」「大切な気づきをシェアしてくれてありがとうございます」などの声が寄せられています。

「風化させてはいけない」 作者が語る15年目の決意

 作者のをぎくぼ虫さんに、当時の心境と漫画に込めた思いを伺いました。

Q. 今回の漫画を描こうと思ったきっかけは?
「本当は描くべきか数年間迷い続けていたのですが、震災から15年経ってもまだ復興しておらず、絶対に風化させてはいけない、少しでも気に留めるきっかけになれば、と考えて描くことにしました」

Q. ボランティアに参加された理由や、当時の心境を教えてください。
「救命士の先輩から教わっていた『誰かがやらなきゃいけないという時はその「誰か」が自分だと思え』という言葉を思い出して参加を決めました。現地ではがれき撤去や泥かき、心肺蘇生法の講師などをしましたが、何回行っても『人も物も何もかも足りない』と痛感していました」

Q. 「立ちましょう。そこ、人の家なので」という言葉を聞いたとき、どう感じましたか?
「まさに目から鱗で、気合いを入れ直さないと、と思いました。その場の雰囲気も、言われた人や周りの人も『姿勢を正さなきゃ』という空気に変わったのが印象的でした」

Q. 多くの反響が寄せられていますが、今の思いは?
「自分と同じくボランティアに参加した方の経験や感じたことを知れたのは非常に貴重でした。こうしたエッセイ漫画は自費出版でまとめ、コミティアや通販でも販売しています。ネットに載せていない描き下ろしもありますので、ぜひ手に取っていただければ幸いです」

(Hint-Pot編集部)