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震災から9年経っても忘れられない光景 ボランティアで被災地を訪れた女性の描いた漫画が大反響 「語り部という大事な役目」
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漫画を読んだ宮城県七ヶ浜町の住民からもたくさんの感謝の言葉が
未曽有の大災害となった、東日本大震災から9年が経ちました。今年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で、政府主催の追悼式典は中止に。また、各地で復興関連イベントの規模縮小や取りやめを余儀なくされました。そんな中、震災発生後、被災地にボランティアへ行った女性が今でも忘れられないという、当時の光景を漫画にし、話題となっています。ツイッター上で定期的に公開している漫画「ギャルとぼっち」が人気の作者、朝日 夜(@asahi_yoru9)さんに話を聞きました。
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朝日さんがボランティアに訪れたのは、発生から約半年が経った頃。父親に連れられ、地震と津波で大きな被害を受けた、宮城県七ヶ浜町に向かいました。
漫画には描かれていませんが、ボランティアに向かう際には、現地で負担や迷惑をかけないために、「ありとあらゆるものを自分で持っていけ」と聞き、必要な物を車に詰められるだけ詰めて持って行ったそうです。また、地元から目的地までは、車中泊をしなければたどり着けない距離だったため、そのための荷物が多かったことも大変だったと言います。
到着後、支援物資の配布や津波で流れてきた泥の片付け、高齢者と触れ合ったりと、朝日さんはさまざまなことをお手伝いしますが、他のボランティアの人たちの働きぶりを見て、自分は「役に立っているだろうか……」と感じ始めます。そして、誰かに褒められると「もっと早く来ればよかった」と後悔していました。
夜になると、まだまだインフラの復旧が不十分だったため、辺りは真っ暗。ランタンや懐中電灯に照らされ、コンクリートに寝袋を敷いて眠ることに。非日常な環境と自分の力不足を感じて、少々不安を抱えていた朝日さんでしたが、突然他のボランティアの人たちから外を見てくるように声をかけられます。
「外外! 空」
言われた通りに外へ行き、空を見上げるとびっくり。町の灯りがない分、真っ黒な空に無数の星が輝き、今まで見たことがないような美しい光景が、目の前に広がっていたのです。
今でもその時の光景や、優しくしてくれたおじいさんやおばあさん、ボランティアスタッフの人たちのことを忘れることはないという朝日さん。その時に、連絡先を交換したボランティアの人と連絡を取り合ったり、ありがたいことに被災地の人から季節の果物が送られてきたりすることがあるそうです。
また、漫画を公開後、ボランティアに訪れた七ヶ浜町に住んでいる人たちからコメントがあり、多くの感謝の言葉や、中には現在の浜辺の様子を写真で送ってくれた人も。震災後、がれきの山だった浜辺が、とてもキレイに整備し直されている様子が伝えられ、「あの時、私が見た海と全然違って、ますますまた訪れたいと思いました」と、とても嬉しかったそうです。
他にも「語り部という大事な役目ですね」「辛いけど温かい、行ってみないとわからない事ですね」「電車で涙してしまいました」など、多くのコメントが寄せられました。
(Hint-Pot編集部)