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「時速500キロ」で迫る恐怖にどう立ち向かう? 津波から生き残るための鉄則とは

公開日:  /  更新日:

著者:和栗 恵

宮城県南三陸町志津川の「海の見える命の森」に立てられた「津波てんでんこ」の石碑【写真:PIXTA】
宮城県南三陸町志津川の「海の見える命の森」に立てられた「津波てんでんこ」の石碑【写真:PIXTA】

 日本は四方を海に囲まれ、過去には各地で大きな津波被害が記録されてきました。地震の揺れそのものだけでなく、その後に押し寄せる津波が被害を拡大させることも少なくありません。いざというとき、命を守るためにどのように行動すればよいのでしょうか。三陸沿岸に古くから伝わる教え「津波てんでんこ」を手がかりに、防災士の和栗恵さんが避難の考え方を解説します。

 ◇ ◇ ◇

家族みんなで実践したい「津波てんでんこ」

 2011年3月11日午後2時46分頃、三陸沖を震源とするマグニチュード9.0の巨大地震が発生しました。気象庁によると、この地震は広い範囲で連動して発生したもので、沿岸部では大規模な津波が観測され、太平洋側の広い地域に被害が及びました。

 津波の高さは一部で10メートルを超え、北海道から関東にかけて多くの自治体が被災しました。警察庁のまとめでは、1万5000人以上が亡くなり、現在も行方不明者がいるなど、未曾有の被害となっています。

 こうした未曾有の災害の中、津波を逃れ、多くの人たちが助かった地域があります。それは三陸地方に位置する岩手県釜石市。このエリアは明治三陸津波やチリ地震津波など、古くから大津波による被害を受けてきた歴史があり、「津波てんでんこ(命てんでんこ、命てんでん、命てんでんっこ)」という教えが広まっていました。

「津波てんでんこ」とは、「津波が来たら(大きな地震が起きたら)、いち早く、各自てんでんばらばらに、高台に逃げろ」という教えを短く覚えやすくしたもの。東日本大震災の日、この教えを実践した人は、無事に津波から逃げることができたのです。

 震災当日、この教えを実践して避難したことで助かったケースも多く報告されています。釜石市の鵜住居地区では、学校にいた子どもたちが自ら判断して避難を開始し、結果的に多くの命が守られました。この出来事は「釜石の奇跡」として広く知られています。