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前妻の子は学費全額、私の息子は奨学金? 再婚家庭で起きた進学費用の線引き 夫婦カウンセラーがアドバイス
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教えてくれた人:夫婦カウンセラー・原嶋 めぐみ

家族の形が多様になるなか、再婚家庭では子どもの進学やお金をめぐる問題に悩むケースも少なくありません。とくに、血のつながりのない子どもに対して、どこまで責任を負うべきなのか、その線引きは難しいものです。息子の大学進学をきっかけに、夫との価値観の違いに直面したという女性。夫婦カウンセラーは、この問題にどのようなアドバイスを送るのでしょうか。
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大学の学費は出せないという現夫
関東地方在住の高木乃生子さん(仮名・40代)は、息子が生まれて間もなく前夫と離婚。しかし元夫は養育費を支払わないばかりか、息子との面会にもほとんど応じなかったといいます。
その後、息子が小学校へ上がる頃、乃生子さんは現在の夫と再婚しました。夫には前妻との間に子どもが2人います。2人とも夫が引き取ったため、現在はすでに独立していますが、同居していた時期もあったそうです。しかし、お互いの子どもとは養子縁組をしていません。
問題が持ち上がったのは、息子が高校2年生になり、将来の夢を真剣に考え始めた頃でした。息子は学びたい学部があることから、私立の理系大学への進学を強く希望したのです。
乃生子さんもフルタイムで働いていますが、収入は決して多くなく、大学進学にかかる費用をすべて負担するのは簡単ではありません。そこで夫に相談したところ、こう言われたといいます。
「受験費用までは出すけれど、大学の学費や入学金は奨学金を利用してほしい」
夫には、その理由もありました。乃生子さんとは年の差があり、定年がそれほど遠くないため、老後資金をできるだけ残しておきたいという考えだったのです。事情は理解できるものの、乃生子さんの心には、どうしても割り切れない思いが残りました。
「夫は、前妻との子どもたちの学費は、すべて出したと聞いています。夫婦になった以上、息子のことも家族として見てくれていると思っていたので、夫の言葉に正直ショックを受けたのですが、私がおかしいのでしょうか」
もちろん、元夫が養育費を払ってこなかったことが大きな原因であり、本来は母親である自分がどうにかすべき問題だという自覚もあります。
「元夫が養育費を払ってくれていれば、少しは貯金できていたかもしれないのに、という思いももちろんあります。でも、それ以上に、夫の言葉を聞いてから、心の距離ができてしまった気がしています」
学費の責任は誰にある?
離婚の2文字が脳裏によぎっているという乃生子さん。夫婦カウンセラーの原嶋めぐみさんに話を聞きました。
「まず整理しておきたいのは、法律上の親の責任です。養子縁組をしていない以上、息子さんの学費を負担する義務があるのは、乃生子さんと元夫のふたりになります。現夫が受験費用を出してくれるというのは、むしろ配慮してくれていると言えるかもしれません」
もちろん、息子の進学を思う母として複雑な気持ちになるのは自然なことだといいます。
「夫が前妻との子どもには学費を出してきたと聞けば、『どうして私の息子には……』と感じてしまうのも無理はありません。ただ、それをそのまま現夫への怒りとしてぶつけてしまうと、問題の本質から離れてしまう可能性があります」
そのうえで原嶋さんは、まず息子と率直に話し合うことが大切だと指摘します。
「家庭の収入や貯蓄、進学費用などをきちんと共有し、奨学金を含めて現実的な進学の方法を一緒に考えていきましょう。親がすべて背負うのではなく、家族として状況を共有することも大切です」
なお、未払いの養育費については、家庭裁判所を通じて請求できる可能性もあります。そのうえで、現夫とも改めて話し合うことが必要だといいます。
「法律上の親ではないとはいえ、家族として長く一緒に暮らしてきた存在です。『もう少し寄り添う言葉がほしかった』という気持ちがあるなら、そのまま伝えてみてください。乃生子さんの不安を理解し、できる範囲で歩み寄ってくれるかもしれません」
息子の進学という大きな節目だからこそ、感情だけで判断するのではなく、家族として何ができるのかを一つずつ整理していくことが大切だと原嶋さんはアドバイスを送りました。
(和栗 恵)