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「断れない嫁」でいることをやめた年末 三回忌を機に線を引いた女性の決断 夫婦カウンセラーの見解は

公開日:  /  更新日:

著者:和栗 恵

教えてくれた人:夫婦カウンセラー・原嶋 めぐみ

夫が義妹の味方をすることにがっかり(写真はイメージ)【写真:PIXTA】
夫が義妹の味方をすることにがっかり(写真はイメージ)【写真:PIXTA】

 帰省先での家事分担、みなさんはどのようにしていますか? 今回お悩みを寄せてくれたのは、義実家の庭掃除を押しつけられているという女性。なぜ、自分たちの住まいでもない義実家の掃除をしなければならないのかと、モヤモヤが溜まっているそう。夫婦カウンセラーのアドバイスとともに紹介します。

 ◇ ◇ ◇

まめだった義母が死んだことで、負担が増加

「義母は優しくてまめで、いわゆる“完璧主婦”の人でした。私は結婚してから、家事のことも、子育てのことも、たくさん助けてもらいました」

 そう話すのは、中国地方在住の林田圭子さん(仮名・40代)です。数年前、義母が体調を崩して入院したときのこと。お見舞いに行くと、病室で義母が「庭の手入れができなくてね」と、弱々しく話していたといいます。義母が庭の花をとても大切にしていることを知っていた圭子さんは、誰かに頼まれたわけでもなく、ただ義母への感謝の気持ちから、庭の手入れをするように。

 ほかに、入院中の義母のケアも、夫に代わり圭子さんが中心に担ってきました。しかし、圭子さんの夫は三人きょうだい。既婚の義姉は義実家の近くに住み、独身の義妹は義実家に住んでいます。

 それなのに、なぜか作業をするのはいつも自分ひとり。義姉が遊びに来ていたときに、庭の手入れをしていた際も「寒いのに大変ね」と声はかけてくれるのに、台所でお茶を飲んでいるだけだったそうです。そのたびに「実の娘なのに……」と内心イライラしながらも、「今は大変な時期だから」と言い聞かせて続けてきました。

 そして2年前、義母はそのまま帰らぬ人になり、同居していた義妹が義実家を相続することに。圭子さんは、仏壇に庭の花を手向けてあげたいという思いから、それ以降も庭の手入れを続けていました。

 ところが、時間が経つにつれ、義妹の態度に変化が。庭のことを話題にすると「やってもらって助かる」と言いながらも、どこか“やらせてあげている”というような上からの物言いになっていったのです。さらに、年末年始には「大掃除も手伝ってほしい」と、当然のように頼まれるようになりました。

「そのとき初めて、『あれ? 私、なんでここまでやっているんだろう』って思ったんです。ここはもう義妹の家なのにって……」

 思い切って夫に気持ちを打ち明けましたが、返ってきたのは「広い家にひとりで住んでいるんだから大変だろう。手伝ってやってよ」という言葉でした。

「悪気がないのはわかるんです。でも、そのひと言で、私のモヤモヤは全部なかったことにされた気がしました」

 そして迎えた、義母の三回忌。圭子さんは法事を終えたあと、仏前に向かって手を合わせながら、心の中で区切りをつけました。

「もう、庭の手入れはここで卒業しよう。そう決めて、夫と義妹にも伝えました。すると案の定、夫が義妹をかばうので空気がピリついて……」

 圭子さんは今年から、夫ひとりでセパレート帰省するように伝えていますが、夫は納得していない様子。しかし、一緒に行ったら手伝わされるのは目に見えています。憂鬱な気分のまま年末を迎え、「私はどこで線を引けば良かったのか」と、今も答えが見つからずにいます。