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「こんな低レベルな学校なんて恥ずかしい」 入学式で義母が暴言 何も言わない夫に募る不信感
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教えてくれた人:夫婦カウンセラー・原嶋 めぐみ

家族の節目となる入学式。しかしその場でのなにげないひと言が、関係に深い溝を残してしまうこともあります。学歴に強いこだわりを持つ義母の発言に、思わず言葉を失ったという女性。さらに心に引っかかったのは、その場にいた夫の“沈黙”でした。なぜ何も言ってくれなかったのか今でも心に残っているといいます。そんな女性に対する夫婦カウンセラーのアドバイスとは。
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学歴にこだわる義母に辟易
今回お話を聞かせてくれたのは、東北在住の柏木江名子さん(仮名・40代)。2人の女児に恵まれ、現在は義理の両親と同居しています。
義母は代々続く農家の長女で、義父は婿養子ということもあり、家庭内では義母の意向が強く反映される環境だったそうです。見栄っ張りな性格で、親戚の集まりでも進学先や肩書の話を持ち出しては自慢話をすることも多く、夫に対しても子どもの頃から進学について厳しく言ってきたといいます。その影響もあり、夫は四年制大学の農業系学部を卒業しています。
そうした環境の中で、江名子さんはこれまで一歩引いた立場で義母と接してきました。
「夫も私も仕事が忙しく、義母はちょっと口うるさいところはありますが、あれこれと家事や育児を助けてくれていたので、感謝していたんです」
そんな嫁姑関係が壊れたのは、次女が高校に入学した春のことでした。長女は県立の進学校へ進みましたが、次女はスポーツ推薦で、部活動に力を入れている私立高校へ進学することに。入学式には、江名子さん夫婦と義母の3人で出席することになりました。
「当日、学校に着くまでは普通だったんです。でも、体育館に入って席に座った途端、義母が突然、大きな声で話し始めて……」
周囲にも聞こえるような声で、義母は次々と不満を口にしました。
「こんな低レベルな学校に孫が通うなんて、恥ずかしいったらないわ」
「ここ、偏差値いくつなの?」
「見てよこのスリッパ、汚いったら……」
慌てて「お義母さん、失礼ですよ!」と声をかけたものの、義母はその後もぶつぶつと文句を言い続けたそうです。
「本当に恥ずかしくて、いたたまれませんでした。夫はその場にいたのに、何も言ってくれなかったんです。あの状況で、ただ黙って座っているだけで……」
義母の言動以上に、夫の態度が心に残ったといいます。
「その場でひと言でも注意してくれていたら、受け止め方は違ったと思います。でも、何もなかったかのように振る舞われて……。これまで義母に嫌味を言われても止めてくれなかったことや、たしめてくれなかったことを一気に思い出して、夫に対して強い不信感を抱くようになってしまったんです」
それ以来、心の中にしこりのようなものが残っているという江名子さん。
「子どもたちが巣立ったら、離婚しても良いかなと思うこともあります」
夫の「沈黙」は同意ではない ただし放置して良い問題でもない
夫が義母をたしなめなかったことに強い不信感を抱いているという江名子さん。この点について、夫婦カウンセラーの原嶋めぐみさんはこう指摘します。
「夫を擁護するわけではありませんが、あの場で何も言わなかったからといって、必ずしも義母に同意していたとは限りません」
原嶋さんは、その背景に「これまでの関係性」があると見ています。
「小さい頃から義母の言動を見てきた夫にとっては、“反論しても状況が悪化するだけ”という感覚が身についている可能性があります。そのため、『関わらない』『やり過ごす』という対応を無意識に選んでしまったのではないでしょうか」
ただし、その対応が正しいかどうかは別問題だといいます。
「今回のケースでは、娘さんがその場にいて、周囲にも聞こえる状況でした。家族を守るべき場面で何も言わなかったことは、結果として江名子さんの不信感につながってしまっています」
では、どう向き合えば良いのでしょうか。
「時間が経っているとはいえ、一度きちんと伝えておくことが大切です。『あのときの対応がつらかった』『今後は同じような場面で、家族を守る行動をしてほしい』と、責めるのではなく、要望としてシンプルに伝えてみてください」
過去の出来事を蒸し返されることに抵抗を感じる人も少なくありません。そのため、伝え方も重要だといいます。
「長く説明するよりも、『あの場面では止めてほしかった』『娘を守る行動を優先してほしい』と、端的に伝える方が伝わりやすいでしょう」
それでも夫の対応が変わらない場合については、こう続けます。
「同じことが繰り返されるのであれば、その関係をどうするかを考えるタイミングかもしれません。江名子さんが感じている違和感は、決して小さなものではありませんから」
(和栗 恵)