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「恥ずかしい…」 娘の受験失敗にかけたひと言 夫から離婚を切り出された母の戸惑い
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教えてくれた人:夫婦カウンセラー・原嶋 めぐみ

子どもの進路を思うあまり、つい厳しい言葉をかけてしまった経験がある人もいるでしょう。ところが、その行動は親子関係だけでなく夫婦関係にも大きな影響を及ぼすことがあります。娘の受験をきっかけに、自身の言動が原因だと夫から離婚を切り出されたという女性。良かれと思っていた言葉は、なぜここまで事態を悪化させてしまったのでしょうか。夫婦カウンセラーに話を聞きました。
◇ ◇ ◇
娘が受験に失敗し、学校を休みがちに
娘が高校受験に失敗したことがきっかけで、夫との仲に溝が生まれてしまったと語る、関東在住の原田未希さん(仮名・40代)自身と実母の卒業校に娘も通ってほしいという強い願いから、仕事と両立しながら懸命に受験をサポートしてきました。
しかし、結果は不合格。原田さんは激しいショックから、娘に対し「努力が足りなかった」「私やおばあちゃんと同じ学校に行けないなんて恥ずかしい」と、心に突き刺さる言葉を投げかけてしまったといいます。
「言ってはいけないとわかっていたのに、期待が大きかった分、どうしても感情を抑えられませんでした……」
自身も厳しい母親に育てられた経験から、責めるような言動には気をつけてきたつもりだったという原田さん。気持ちを切り替え、第二志望の高校の入学式では努めて明るく振る舞いました。
ところが入学後、娘さんは次第にふさぎ込むようになり、制服を着ることさえ拒絶。学校を休みがちな状態が1年近く続いたある日、夫から突きつけられたのは「娘のためにも離婚したい」という言葉でした。
夫の言い分によれば、娘はもともと第一志望の学校を受験したくなかったこと、それどころか娘が自ら希望した学校を原田さんがけなし、「受かるわけない」と受験すらさせなかったことが不信感の根源にあるといいます。
さらに追い打ちをかけたのは、今の高校の制服を着る娘の横で、原田さんが無意識についていた大きなため息でした。夫は離婚した上で、娘が希望するなら、高校を編入することを計画していると明かしました。
「母親がいない状態で、娘がまともに生活できるとは思えません。けど、夫は一切耳を貸してくれません。数か月前からカウンセリングに通い、自分を変えようと努力していますが、夫の決意は固いようです。私は、これからどうすればいいのでしょうか……」
悪気はなかったという前提をなくして真摯に謝罪を
「あくまでも推測ですが……もしかしたら未希さんは、娘さんのことだけでなく、これまでにも無意識に『失言』を繰り返してきたのではないでしょうか」
そう話を切り出したのは、夫婦カウンセラーの原嶋めぐみさん。
「今回の出来事だけを見ると、受験がきっかけに見えますが、これまでにも似たようなやり取りが積み重なっていた可能性があります。未希さんご自身も“言い方には気をつけてきたつもり”とおっしゃっていますが、その“つもり”と、受け取る側の感じ方にズレがあったのかもしれません」
では、受験の場面ではどのような対応が望ましかったのでしょうか。
「受験は結果がすべてではありません。うまくいかなかったときこそ、親がどう関わるかが大切です。『恥ずかしい』と距離を置くのではなく、『ここまでよく頑張ったね』と受け止める姿勢が必要だったと思います」
ただし、問題はそこにとどまらないといいます。
「今回、夫が離婚を選択肢として提示している点は重く受け止める必要があります。子どもへの影響を考えての判断であれば、夫の中ではすでに“これ以上は難しい”というラインを越えてしまっている可能性もあります」
では、未希さんはどう向き合うべきなのでしょうか。
「まずは、『自分ではそのつもりがなかった』という前提を一度手放し、相手がどう感じていたかに目を向けることが大切です。そのうえで、これまでの言動について、言い訳をせずに真摯に謝ること。カウンセリングに通っていること自体は前向きな行動ですが、それだけでは関係の修復にはつながりません」
(和栗 恵)