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「蝶の標本ではありません」 角度で表情を変える神秘的なアートが話題 鉄と錆だけで描かれた作品に「信じられない」の声
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使い込まれた道具や古い建物に見られる「錆」。一般的には経年劣化の象徴としてネガティブに捉えられがちなものですが、思いがけない発想から、それは息をのむほど美しい芸術へと姿を変えます。X(ツイッター)では「絵の具を一切使っていない」というある生物の作品が注目を集めています。絵の具を使わず、鉄の光沢と錆の深みだけで表現された蝶の姿に、約2000件の“いいね”が寄せられました。投稿者のYASUKA.M(@YASUKA_Martwork)さんにお話を伺いました。
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鉄と錆だけで描かれた蝶に驚きの声
「鉄板を酸化させて描いた蝶の絵です。鉄の光沢と錆の深みが独特の立体感と奥行きを表現してくれます」
そんなコメントが添えられた1本の動画。そこには、日本の国蝶・オオムラサキが描かれた鉄板が映っています。青や紫の繊細な色合い、羽の質感や立体感まで表現されており、絵の具を使っていないとは思えない仕上がりです。角度を変えるたびに光が反射し、奥行きのある表情が浮かび上がります。
YASUKA.Mさんは投稿のツリーで、「蝶の標本ではありません。ただの薄い鉄板です。絵の具も使ってません。これが鉄錆の底力です!」と補足しています。
この投稿には、約2000件の“いいね”が集まりました。リプライ(返信)には「塗料を使わずにこれだけの色が出せるなんて、信じられない!」「これを見るたびに、その素晴らしさに本当に感動してしまいます! 色合いもディテールも、本当に見事ですね!」「こんな作品、今まで見たことがない。本当に美しい」など、国内外から驚きと称賛の声が寄せられています。
彫刻の経験から生まれた技法 「素材の美しさを引き出したい」

大学で彫刻を学び、素材が持つ美しさに感銘を受けて以来、その魅力をより引き出す作品づくりを心がけてきたというYASUKA.Mさん。転機となったのは、ニューヨークのギャラリーで「壁面に飾れる作品」という条件で展示の機会を得たことでした。
立体の彫刻を主軸としてきたなかで、平面でも自身の技術や知識を生かせないかと考えた末にたどり着いたのが、「鉄を酸化させて絵を描く」という発想だったといいます。
「創り始めたらとてもしっくりときて、それ以来ずっと表現力を深める為に実験と研究を繰り返しながら制作するようになりました」
今回の蝶の作品には、「ネガティブなイメージのある錆で美しい世界を表現したい」という思いが込められています。朽ちていく印象を持たれがちな錆に対し、羽化する蝶の華やかさや生命力を重ね合わせることで、その新たな魅力を引き出そうと考えたといいます。
蝶の美しさをできる限り再現しようと何度も描くうちに、技術が大きく向上。「自分でも気づかないうちに進化していた」と振り返ります。その経験から、個性と向き合い、磨き続けることの大切さも伝えたいと話しています。
