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「パン派」の人が不足しがちな栄養素 「ごはん派」との差や、一緒にとるべき食品を栄養士に聞いた
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教えてくれた人:和漢 歩実

朝食にパンを食べる人も多いでしょう。ごはん中心の朝食に比べると栄養に偏りが出やすいといわれることがありますが、パン食が続くと不足しがちな栄養素には、どのようなものがあるのでしょうか。また、栄養バランスを整えやすくするために組み合わせると良い食品とは。栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。
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主食のなかでも脂質や塩分が多い傾向に
買い置きをしていれば、パンは忙しい朝の時間にもすぐに用意できる便利な主食です。ごはんはおかずと組み合わせて食べることが多い一方、パンはそれだけで食べられる手軽さがあります。たとえば食パンであれば、そのままでも、トーストしても、ジャムやバターを塗るだけでもおいしく食べられます。ただし、その手軽さゆえパンだけで済ませてしまうと、栄養バランスが偏りやすくなります。
一般的な食パン1枚(60グラム、6枚切)に含まれる栄養素を日本食品標準成分表(八訂)増補2023年の数値でみると、エネルギーは約149キロカロリー、炭水化物が約27.8グラムです。ごはん茶碗1杯(約150グラム)は234キロカロリー、炭水化物が約55.7グラムなので、1食分で比較すると食パンのほうが低めです。
一方で、小麦粉に油脂や塩を加えて加工する食パンは、主食のなかでも脂質や塩分が多い傾向に。バターやマーガリン、チーズなどを組み合わせると、脂質や塩分はさらに増えやすくなります。たんぱく質が約5.3グラム含まれていますが、食パン1枚だけでは、朝食に必要な量として十分とはいえません。
また、カルシウムや鉄、ビタミン類も多いとはいえず、ビタミンCが含まれていないため、パンだけで朝食を済ませると、不足する栄養素が出やすくなります。
不足しがちな栄養素とは
誤解がないように触れておくと、パン食がいけないわけではありません。組み合わせを工夫すれば、十分に栄養バランスの取れた食事になります。パンだけで済ませるのではなく、主菜や副菜で不足しがちな栄養素を補うよう心がけましょう。一緒にとることを意識したい栄養素は、次の通りです。
○たんぱく質
朝にたんぱく質をとることで、筋肉をはじめ、体のあらゆる細胞の材料を補いやすくなります。成人女性の場合、たんぱく質の推奨量は1日約50グラムなので、朝食では15~20グラム程度を目安にとっておきたいところです。卵やツナ、ハム、チーズ、ヨーグルト、牛乳などを組み合わせると良いでしょう。大豆が主原料の納豆は、植物性たんぱく質を含み、優れた栄養価を持つ食品です。ごはんに合わせることが多いかもしれませんが、チーズと合わせてトーストにしてもおいしいですよ。
○食物繊維
腸内環境を整え、排便の改善にもつながります。また、食後の血糖値の上昇をゆるやかにする働きも期待できます。精製された小麦粉を使った食パンは、消化・吸収が早く、血糖値が上がりやすい特徴があるため、野菜や豆類、果物など食物繊維を多く含む食品と一緒にとると良いでしょう。季節の野菜や豆を使ったサラダや具だくさんのスープ、手軽に食べられるバナナやキウイフルーツなどがおすすめです。
○ミネラル
体の調子を整えるために欠かせない栄養素です。とくに不足しやすいのは、骨や歯の材料になるカルシウムや、造血に関わる鉄です。朝のうちに補っておくことで、日中の活動を支える体づくりにつながります。牛乳やヨーグルト、チーズ、シラスなどの小魚や桜エビ、小松菜、ホウレン草などの青菜と組み合わせると良いでしょう。
○ビタミン類
ビタミン類は、エネルギー代謝や体の調子を整えるために重要な栄養素です。とくに、ビタミンCは食パンに含まれていないので、積極的に摂取したいところです。鉄の吸収を助ける働きも期待できます。また、ビタミンB群は糖質をエネルギーとして利用する際に欠かせない栄養素で、パン中心の食事では意識して補いたいところです。ビタミンCはピーマンやパプリカ、ブロッコリー、キウイフルーツなどから、ビタミンB群は卵や乳製品などから補います。
パン食の手軽さを生かしつつ、一緒に食べるものを工夫することで、栄養バランスを整えやすくなります。適量を意識しながら、無理なく取り入れていくと良いでしょう。
(Hint-Pot編集部)
和漢 歩実(わかん・ゆみ)
栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾
