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フライパンを加熱してから油をひくのは間違い? 今と昔で変わる台所の常識

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:和漢 歩実

フライパンに油をひく(写真はイメージ)【写真:写真AC】
フライパンに油をひく(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 炒め物などを作る際、「フライパンを熱してから油をひく」と教わった方もいるでしょう。しかし今では、間違った手順になってしまうこともあるようです。これまで当たり前と思ってやっていても、実は見直す必要があるかもしれません。今と昔で違う台所の常識について、栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。

 ◇ ◇ ◇

素材の違いで使い方が異なる

 かつては、フライパンを使うときは、熱してから油を入れると教わることが多くありました。これは、鉄製のフライパンが一般的だったためです。鉄製は、炒め物などがおいしく仕上がりやすい一方で、表面にコーティングなどがないため、温度が低いまま食材を入れると、くっついて焦げやすい特徴があります。そのため、先によく熱してから油を入れて膜を作り、食材がこびりつきにくい状態にしてから調理するのが基本でした。

 もちろん、今も鉄製のフライパンを使っている家庭もあると思いますが、現在は、手入れが簡単でこびりつきにくいフッ素樹脂加工のフライパンが主流です。フッ素樹脂加工の場合、なにも入れないまま加熱すると、コーティングが傷み、劣化を早めてしまうことがあるので注意しましょう。

 ただし、フッ素樹脂加工のフライパンでは、鉄製のフライパンと同じ感覚で空焚きするのは避けたほうがよいでしょう。油を使うときは、先にフライパンに入れてから火にかけるほうがコーティングへの負担が抑えられます。取り扱い説明書などを確認のうえ、フライパンの種類に合った使い方をすることが大切です。

「鉄のフライパンはゴキブリが寄ってくる」のは誤解

 フライパンにまつわる昔からの話で、もうひとつ。「鉄のフライパンはゴキブリが寄ってくる」ということを、聞いたことがある方もいるかもしれません。実際には誤解で、鉄製のフライパンがゴキブリを引き寄せるわけではありません。

 ゴキブリはわずかな食べ物や油汚れなどのにおいに敏感で、フライパンに限らず、食べ物の汚れや酸化した古い油を残したままにすると、引き寄せる原因になることがあります。鉄製のフライパンには、使用後にサビ予防のため薄く油をなじませる「油ならし」が必要です。こうした特徴から、そのような誤解が広まったのかもしれません。

 鉄製かフッ素樹脂加工かにかかわらず、ゴキブリ対策で大切なのは、調理後の汚れや油を放置しないことです。フライパンを清潔な状態に保ち、キッチン周りもこまめに掃除するよう心がけましょう。

洗うタイミングや洗い方も確認

 フライパンを購入した際には、素材やコーティングの種類をチェックし、適切な洗い方で手入れしてください。鉄製のフライパンは、使用後まだ熱いうちにお湯で汚れを浮かせ、洗剤を使わずにたわしでこすり落とすのが基本です。

 一方、フッ素樹脂加工のフライパンは、急激な温度変化に弱いため、調理後は十分に冷ましてから洗うのが望ましいとされています。冷ましている際にキッチンペーパーで表面の汚れや油を拭き取っておくと、汚れが取れやすくなります。たわしなどでこすらず、内側はやわらかいスポンジでキッチン用洗剤を使って、円を描くように優しく洗いましょう。

 どちらも洗ったあとは、洗い残しがないようにすすぎ、すぐに乾いた布巾などで水分を拭き取ってください。自然乾燥させると、水道水に含まれる塩素などが残り、白い斑点汚れの原因になります。鉄製のフライパンの場合は、火にかけて水分を飛ばす方法がありますが、フッ素樹脂加工の場合は行わないでください。

 時代とともに調理器具などが進化し、昔からの習慣や聞いた話が、今の暮らしに合わないこともあるでしょう。台所の常識も少しずつアップデートしていきたいですね。

(Hint-Pot編集部)

和漢 歩実(わかん・ゆみ)

栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾