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子どもが親を児相に通報…“しつけと虐待”線引きどこに? 専門家は「叱らない育児」に警鐘

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部/クロスメディアチーム・佐藤 佑輔

近年では「叱らない育児」が幼児教育のトレンドに

 川松理事長によると、そもそも児童相談所への通告は5割以上が警察署からで、子ども自身による通告は全体の数%未満。それでも、多感な時期の中高生からは例年一定数の相談が寄せられるといいます。世間から見れば一般的な親子関係にあっても、反抗期の子どもが親に反発したい思いから通告を行う、あるいは子ども自身から暴力を受けている場合など、親はどのように対応すればいいのでしょうか。

「子どもからの通告に誇張された内容がないわけではありません。それでも児相は子ども第一。わざわざ相談してくる裏には、親に限らず学校での人間関係や学業成績など、その子なりの背景があります。そういった悩みに耳を傾け、寄り添ってあげることが大切です。例えば子どもが他者に危害を加えようとしている場合など、一定程度の力を使った抑止まで体罰とは言えない。時に罰としてゲームをさせないようにすることが必要なこともあるでしょう。当たり前のことですが、体罰や虐待をしないことは、子どもの言いなりになることではありません」

「虐待」という響きからは、一方的で凄惨な行為が想起されますが、実はニュースになるような身体的な虐待は全体のほんの一握り。実際には「怒鳴りつけた」「激しい夫婦げんかをした」など、軽度の心理的虐待の割合が増えているといいます。保護者の側からも「だって、言うことを聞かないから……」「そんな、虐待だなんて!」という反応が多いと川松理事長。近年では、「叱らない育児」が幼児教育のトレンドにもなっていますが、叱ることと虐待との違いはどこにあるのでしょうか。

「当然のことながら、叱ることすべてがいけないわけではありませんし、ときにはきつく叱ることが必要な場面もある。大切なのは叱り方です。なぜ叱られているのかが子どもに伝わっていなければ、いくら叱っても意味がない。感情のままに怒鳴りつけるのではなく、教え諭す。かんしゃくを起こしたり、暴れたりしていて周りの声が耳に入らないのであれば、まずは一度落ち着かせることも必要です。

 誰しも最初の子育ては初めての経験ですが、今は昔と違い、親族や周囲のサポートが得られづらい時代。虐待が起こる原因は育児の孤立化によるところも大きいのです。原因がどこにあるのかを見極め、特性のある子だったら療育機関、経済的困窮であれば行政など、適切な支援機関につなぐことも児相の大切な役割。それと並行して、ペアレントトレーニングなどを通じ、親自身が子どもとの接し方を学ぶ場を拡充していくことも求められていると感じます」

 逮捕や一時保護のイメージばかりが先行する児童相談所ですが、実際には親子関係を修復し、適切に取り持つ役割も大きいと川松理事長。子育てが孤立化しがちな時代だからこそ、過度に身構えるのではなく、自らの育児を省みるきっかけとしたいところです。

(Hint-Pot編集部/クロスメディアチーム・佐藤 佑輔)