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野菜の下ごしらえ 切ったあとすぐ水にさらすのは逆効果? 変わる調理の常識を聞いた

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:和漢 歩実

水にさらしたタマネギ(写真はイメージ)【写真:写真AC】
水にさらしたタマネギ(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 苦味や辛味、えぐみなどのある野菜は、切ったら水にさらす――昔から当たり前のように行われてきた調理の下ごしらえですが、今では「必ずしも必要ではない」とすることも増えています。水にさらすと、実はもったいないこともあるようです。栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。

 ◇ ◇ ◇

ゴボウやレンコンのアク抜きは必須ではない?

 野菜を調理する際、下ごしらえとしてアク抜きをする目的は、主に次の3つがあります。

 1つ目は、その野菜が持つ苦味を除いて、おいしく食べるためです。2つ目は、料理の見た目をきれいに仕上げるため。アクの成分は空気に触れると酸化し、野菜の切り口が茶色く変色してしまうこともあります。そこで、仕上げの色合いを美しくするためにアク抜きを行います。3つ目は、結石の原因のひとつとされるシュウ酸など、過剰に摂取しないほうが良い成分を取り除くためです。

 たとえばゴボウやレンコンは、調理前に必ずアク抜きをすると教わった人もいるでしょう。えぐみや苦味を取り除き、ポリフェノールの変色を防ぐために、切ったら酢水にさらすのが一般的でした。しかし、今は品種改良が進み、えぐみや苦味が少なくなっています。仕上がりの色が気にならない、きんぴらなどの家庭調理に関しては、アク抜きが必須ではなくなりました。

 むしろアク抜きをすることで、有効なポリフェノールやビタミンCなど、水に溶けやすい成分が流れ出てしまいます。旨味も抜けやすくなるため、家庭料理においてアク抜きは必ず行うものというより、料理や仕上がりに合わせて判断するものへと考え方が変わってきています。

ホウレン草は昔ながらのアク抜きを推奨

 ホウレン草は、ゴボウやレンコンとは少し分けて考えたい野菜です。最近は時短調理として、アク抜きをせず炒めたり、電子レンジで加熱したりするレシピもあります。しかし、ホウレン草にはシュウ酸が含まれているため、ゆでて水にさらす従来通りの下ごしらえをおすすめします。

 ホウレン草のアク抜きは、切らずに行います。ビタミンCやカリウムなど水溶性の有効な栄養素が、切り口から流出してしまうのを防ぐためです。鍋で沸騰させた湯に塩を入れ、硬い茎側を先に少しゆでてから、葉のほうも入れて1~2分ゆでます。その後、ボウルに張った冷水にさっとさらしてください。

 手間かもしれませんが、シュウ酸の摂取を減らすことは結石のリスクを下げることにつながります。下ごしらえをしたうえで、ホウレン草の豊富な栄養を取りたいところです。

生のタマネギは空気にさらすのが新常識?

 タマネギを生で食べる場合、辛味を和らげるために水にさらすことが、以前は一般的でした。しかし今は、健康成分を逃しにくい方法として、空気にさらす方法が知られています。

 タマネギの辛味のもとになるのは、硫化アリルと呼ばれる成分です。近年の研究で、この硫化アリルには揮発性があり、疲労回復に役立つビタミンB1の吸収を助ける働きや、血流を良くする働きなどが期待できることがわかってきました。

 ただし、硫化アリルは水に溶けやすく、熱にも弱い成分です。生で食べると効率的ですが、辛味を和らげるために長時間水にさらすと、流れ出てしまいます。そこで、薄くスライスしたタマネギを、できるだけ重ならないようにバットや皿に広げみてください。1時間ほど空気にさらすと、辛味が抑えられます。

 昔ながらの下ごしらえにも意味があります。見た目や味、栄養のバランスを考えながら、上手に使い分けていきたいですね。

(Hint-Pot編集部)

和漢 歩実(わかん・ゆみ)

栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾