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梅干しは「腐らない」? 昔から伝わる保存食への誤解 食べてはいけないサインとは
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教えてくれた人:和漢 歩実

昔から保存食として親しまれてきた梅干し。蒸し暑い時期の食卓に取り入れている人もいるでしょう。「100年もの」と呼ばれる梅干しが話題になることもあり、腐らないイメージがありますが、実際はどうなのでしょうか。梅干しの保存性や注意点などを、栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。
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塩分濃度や酸味、保存状況で違いも
「1日1粒で医者いらず」との言葉があるように、梅干しは古くから重宝されてきました。平安時代には貴族たちが、塩漬けした梅の実を薬として用いて、戦国時代には武士たちが兵糧食として常備したといわれています。江戸時代になると庶民の間にも広がり、保存食として各家庭で作られるようになりました。現代も受け継がれている日本の伝統食であり、こうした歴史から「腐らない」食品というイメージがあるのでしょう。
梅干しが腐るか腐らないかは、塩分濃度や酸味、保存状況によります。梅干しは、梅の実を塩漬けにしたあと、赤シソの葉と一緒に梅酢に漬けて天日干ししたものです。昔ながらの方法で作られた梅干しは、梅の実に含まれるクエン酸の酸味に加えて、塩分濃度が約20%と高く、微生物が増えにくい環境になっています。適切に保管すれば基本的には腐りにくく、100年ものの梅干しといわれるのは、そのためです。
しかし、現代の梅干しには、健康志向の高まりから、塩分濃度が低い減塩タイプも多くあります。また、梅干しを水や湯で塩抜きしたあと、カツオや昆布、ハチミツなどの調味液に漬けて、酸味を抑えた「調味梅干し」と呼ばれるものも。
塩分や酸味が控えめで食べやすく、おいしいのですが、昔ながらの梅干しとは異なり保存性は低いです。長期保存は難しく、細菌が繁殖しやすい温度や湿度などの条件がそろうと腐ります。
市販品はパッケージの表示や賞味期限などを確認し、開封後は冷蔵庫で保存して早めに食べ切りましょう。塩分濃度が高い昔ながらの梅も、現代の高温多湿な環境では、保存状況によっては「腐らない」とは言い切れません。カビのようなものがある、異臭がする、容器の中で異常に発酵しているなど、味や見た目に違和感があるといった場合は食べることを控えてください。
ビタミンやミネラル、クエン酸などを含む
梅干しにはビタミンやミネラル、食物繊維など、体に良い栄養成分が含まれています。なかでも、酸味の主成分であるクエン酸は、梅干しを代表する有効成分です。疲労回復を助ける成分として知られ、抗菌作用や食欲を促す働きも期待されています。また、カルシウムや鉄などのミネラルの吸収を促し、消化を助けることでも知られています。
昔ながらの酸っぱい梅干しを小さく刻んで、ごはんに混ぜ込むと、酢飯のようにさっぱりと食べられるのでおすすめです。また、炊飯時に梅干しを加えても手軽です。汗をかきやすいこれからの季節。蒸し暑さで「食欲が湧かない」ときの食事に、1日1粒の梅干しを取り入れてみましょう。
(Hint-Pot編集部)
和漢 歩実(わかん・ゆみ)
栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾