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「中国人ってこんなに嫌われているの?」 日本生活9年目で明かす本心 マナー振る舞いは「行動で示すように」

公開日:  /  更新日:

著者:真貝友香

「中国人ってこんなに嫌われているのか」 YouTube発信から得た気づき

 実際、日本在住の中国人YouTuber同士でも、それぞれの感覚や背景によって見解が異なることはよくあるといい、「14億人もいる中国人の代表には誰もなれないですよね。毎回『中国ではどうですか? 中国人はどう考えますか?』と聞かれると、すごく考え込んでしまいます。私は私自身の代表にしかなれませんから」と複雑な思いを口にします。

 中国人は〇〇だ、中国人は△△する。その内容がネガティブでもポジティブなものであっても、固定観念が強すぎることは偏見や差別につながる可能性があります。むいむいさんも、自身の番組のコメント欄で心ない言葉をかけられることは度々あったそう。

「私も日本に来て、YouTubeを始めてから『中国人ってこんなに嫌われているのか!』って驚いたくらいなんですよ。中国ではリアルな情報を調べようとしても手段が制限されていることもありますし、自分の国が他からどのくらい嫌われているかなんて考えようとも思わなかったですから。YouTubeにアンチやヘイトのコメントが来るようになったことで、ネット上でのネガティブな情報も確かめるようになりました」

 マナーが悪い、大声で騒ぐ、列に並ばない……。ネット上などで指摘される中国人のイメージについては、むいむいさん自身も「一部は合っている」と認めます。「ちゃんとできていない部分があるから、たたかれるのも理解しています。中国人の気質の1つである『安易に謝罪しない』ことが反感を買うこともあると思います」と考えを語ります。

「昔は日本に留学に来た学生でも分割払いでスマホを買うことができたのですが、支払いの途中で帰国して残りの支払いを滞納する学生がいて、そこから中国人留学生への信用がなくなり、私が日本に来た頃は基本一括でしか買えないなんてこともありました。少し前には奈良の鹿に危害を加えたというニュースもありましたよね。同じ中国人として恥ずかしいなと感じました」

 一方で、「そのマナーを守っていない人も、決して中国人代表というわけではないんです」とむいむいさん。「次に日本に来る中国人のためにも、私は評判を下げるような振る舞いはしないぞと努めています。言葉でいくら『いい中国人もいるよ』と言っても、行動が伴わなければ伝わらない。頭ごなしに否定するのも無駄な反論だと思うので、私は行動で示すようにしています」と、自らの心がけについて語ります。

「マナーが守れていないと指摘されて、すごく傷つくわけではないんです。厳しい目で見られているからこそ、悪く言われないように正しくいようとか、自分磨きの糧にするしかないですね。(指摘によって)より素晴らしい人間になれる可能性が手に入れられるわけですし。たまに疲れますけれどね(笑)」

日本社会特有の窮屈さ 外側から見た視点も

 ルールの中で暮らすことを、窮屈でなく、楽しいと感じられるかが、日本で暮らし続けるために必要だと考えているむいむいさん。ルールや“暗黙の了解”が多い日本での生活を前向きに捉える秘訣は一体どこにあるのでしょうか。

「私も日本社会特有の窮屈さみたいなものは知識として知っています。同調圧力が強いとか、五月病で仕事に行きたくないとか、『バイトを飛ぶ』なんて表現もすごく独特だと感じました。私は留学先もエンタメ系の専門学校でしたし、仕事もリモートワークで通勤の必要がないので、いわゆる日本の企業でバリバリ働かなくてはいけない息苦しさとは縁遠かった。それでも中国で働いていた時は、毎日同じ時間にバスに乗って職場に向かって、同じことをするのがつらくて、出社できない体になってしまった経験があるんです。

 日本に来てみて、『日本の人たちも、人によっては窮屈さを感じているんだな』と、アウトサイダーの視点で観察しています。もし自分が日本生まれ、日本育ちの日本人で、その環境になじめなかったら絶望するかもしれないけど、中国で長く働いたり、フリーランスも経験したことで、いろんな仕事があると視野が広く持てるようになったことは大きい。視野が広がれば、同調圧力があっても外側に逃げられるし、ルールに違和感があっても、『まあ、これは日本だけのルールだしな』と思えたら、少し楽になりますよね。日本に向けて発信しているのはそのためでもあります。ここはいいと思うけれど、ここはもう少しこうなればいいんじゃないかなと、一歩引いてみると、ストレスも軽減する気がします」

 とにかく日本語を話したいという思いから YouTubeチャンネルを始めてはや6年。現在は自分から見た日本社会、日本文化、自分ならではの視点を提供すること、そして一緒に出演してくれる仲間と日本語愛を語ることが、発信の二本柱になっています。

「日本で暮らしている外国人が日本をどのように思っているのか、面白おかしくエンタメとして届けたいので、視聴者の皆さんにも複雑に難しく考えなくていいですよ、と伝えたいです。ただ、私たちもいい年齢になってきたので、ただわいわい楽しくやるだけではなく、ちょっと考えるきっかけを作れたらなと思っています。真摯(しんし)に、真剣にふざけることで、見ている人が何かを感じ取ってくれたらいいな、でもその何かは私が決めることではない、くらいの感じですね。コメント欄がたまに荒れることもあれば、国同士の関係が変化することもあるけれど、日本が好きで、日本で生活している私のスタンスは変わらない。生活していれば、ちょっとこの辺は良くないなと思うこともあるけれど、みんな楽しく生きていこうよと思っています」

 日本語と運命の出会いを果たした高校時代から揺らがない信念と、外国人として日本の生活を面白がる視点。むいむいさんの発信が視聴者をひきつけるのは、答えを押し付けず、考える余白を残しているからなのかもしれません。

(真貝友香)